インバウンド:日本には超富裕層外国人観光客の”爆遊”を取り込む施策が足りない

日本のインバウンド事業は『アジア人しか観光に来ない国』からの脱却が必要な時

『爆買』

昨年はこの言葉がメディアを賑わせました。

訪日した中国人観光客が日本の家電や薬などの商品を大量に購入する姿が、テレビ、ラジオ、新聞などで大きく取り上げられていましたので、あなたもご覧になられたのではないでしょうか。

その報道のインパクトがあまりに強いために、日本のインバウンド事業というと、どうにも中国人観光客”爆買”をイメージしてしまい、そこで思考停止してしまう人も多いようです。

実際に地方でインバウンド事業の話をすると、みな口を揃えて中国人観光客の取り込みについて侃々諤々の議論をしています。

では、本当に日本にやってくる外国人観光客は中国の”爆買”の方々だけ見ていれば良いものなのでしょうか?

以下の図をご覧ください。

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こちらは日本政府観光局(JNTO)訪日旅行者数の国別推移です。この図を見て違和感を感じませんか?

1位 中国
2位 韓国
3位 台湾
4位 香港 …

あれ??ヨーロッパのお客さんいないの??オーストラリアは??ロシアは??アメリカも少なくない?

そうなんです。

近隣諸国の観光客が多いのは当然のことですが、あまりにもヨーロッパからの集客ができていないのです。

それでは、国籍・地域別 訪日外国人1人当たり旅行支出と旅行消費額を見てみましょう。

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そう、ヨーロッパ、オーストラリア、ロシアという、最もお金を使う層(一時的な中国の爆買いを除き)の外国人観光客が日本に来ていないのです。

その上、今年あたりから中国人観光客は、国の景気減退に呼応するように”爆買”が冷え込みを見せており、今後もそこだけに頼るのはビジネスとしても危険です。

これでわかる通り、これからの日本のインバウンド事業は、ヨーロッパ、オーストラリア、ロシア、そしてアメリカという最もお金を使う層へのアプローチが重要になってきています。

ハラル認証における対応なども不十分でムスリムが日本に来られない現状の改善も必要でしょう。

ハラル認証とは
イスラム教が摂取を禁じている豚肉やアルコール等を使わないなど戒律に従って製造したことの証明

『アジア人しか観光に来ない国』からの脱却が必要な時なのです。

※アジア人観光客をないがしろにして良いということではありませんよ!

日本は”爆遊”する超富裕層外国人観光客を取り込む下地ができていない

世界の観光市場を見ていくと、全世界の旅行者のうち僅か3%の超富裕層旅行者が、全世界の旅行消費25%を創りだしています。

そしてそのような超富裕層旅行者はヨーロッパ、アメリカに多数存在します。

このような超富裕層旅行者について、『新観光立国論』の著者デービット・アトキンソン氏は、

『帝国ホテルの1泊30万円のスイートには彼らは絶対に泊まらない。なぜなら安すぎるからだ。日本には1泊400万~900万円の超富裕層向け高級ホテルが無い。だから彼らは日本に来ない』

と、述べています。

確かに海外にはこういった超富裕層向けのホテルがいくつもあります。

スイスのジュネーブにあるHotel President Wilsonのロイヤルペントハウススイートルームは1泊約1,000万円、カンヌにあるグランドハイアット系列のホテルGrand Hyatt Cannes Hotel Martinezや、インドのジャイプールにあるThe Raj Palace、ニューヨークを代表するホテルの一つでもある、Four Seasons Hotel New Yorkなどにも、1泊500万を超える部屋が多数あります。

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1泊約1,000万円

まさに”爆遊”です。

しかしながら、日本にはそれだけの格式とサービスを持ったホテルは皆無。

リッツカールトンのカールトンスイートも13万円で泊まれてしまうのが日本。学生のアルバイトが親孝行でプレゼントできてしまうレベルが日本のトップクラスなのです。

ましてや訪日観光客は、こういった世界中どこにでもあるようなホテルよりも、日本らしさが感じられる宿泊施設を望むでしょう。

ホテルだけでは無く、超富裕層向けのカスタマイズされた特注の旅行プランそのものが日本には存在しないのです。

確かにデービット・アトキンソン氏の指摘は間違っていません。

同時に彼は『日本は超富裕層を満足させられるだけの潜在力を持った観光資源を有している』とも述べています。

つまり、日本は高いポテンシャルを持ちながらも、販売する商品を作らなないがために、欧米の超富裕層外国人観光客を取りこぼしているわけです。

世界には一回の旅行に数千万〜億単位のお金を落とす超富裕層が存在することを、改めて理解する必要がありそうです。

まとめ

交通インフラを含め、現状の日本の観光コンテンツでは超富裕層に満足してもらうサービスの提供は難しいでしょう。

東京オリンピックの開催で日本に注目が集まるこの4年間の間に、そういった超富裕層向けの“爆遊”に対する整備も必要になってくるわけです。

そして、いまの日本にはそういったモノが皆無なわけですから、その市場は完全なブルーオーシャンでもあります。

どうでしょう?震災の復興を考えて、熊本あたりに超富裕層向けの観光コンテンツ、及び1泊数百万規模の超高級日本旅館の建築を、官・民、協力してつくってみては…??

と、勝手なことをつぶやいて今回は終わろうと思います。

いずれにしても日本のインバウンド事業は、この欧米系超富裕層を取り込めるか否か?が重要になってくるのではないでしょうか。

訪日外国人旅行客の拡大に向けた具体策を検討する関係閣僚と有識者による会議「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」も、「2020年に4000万人!30年に6000万人!」と、数ばかり追っている感が否めませんが、商売の基本に立ち返れば、

売上=客数×客単価

もう少し客単価を意識した施策も考えていく必要がありそうです。

だってそこはブルーオーシャンなんですから。

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ABOUTこの記事をかいた人

落合正和

マーケティング・コンサルタント&Webメディア評論家&ブロガー 2010年よりソーシャルメディアマーケティングに注目し、現在はオフラインでの商圏分析とソーシャルメディアマーケティングを融合したナレッジをベースに、企業や政治家、プロスポーツ選手といった方々へのコンサルティング活動、講演活動を行っています。 著書:はじめてのFacebook入門【決定版】(秀和システム)