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オバマのネット戦略を深堀りしてみよう
こんばんは!
マーケティング・コンサルタントの落合正和です。
先ほどはオバマのネット戦略についてお伝えしました。
オバマは2008年の大統領選挙時、18歳〜29歳の若年層の大きな支持を受けたのは有名な話しです。
今回はその背景とコミュニケーション手法に関してもう少し深堀りしていこうと思います。
日本のインターネットはアメリカの5年から10年遅れていると言います。
2008年にアメリカで実践されたネット戦略は、今の日本にぴったりなのではないでしょうか。
それでは解説していきます。
意識の多様化が進む現代に合ったネット戦略
アメリカに限らず日本でも同様ですが、選挙と言えば、これまでは「対立」が前提にありました。
「対立」というのは、「是」か「非」の二元論のことを言います。
日本では2005年の小泉郵政選挙が印象的です。

「郵政民営化に賛成か?反対か?」
この「是」か「非」の二元論で小泉純一郎氏率いる自民党は選挙に大勝しました。
これは、”説得”のコミュニケーションです。
「私は正しい、相手は間違っている、だから私に投票しなさい」と有権者を説得したわけです。
2008年の大統領選挙時、対立候補だったマケイン氏もこの手法を使って選挙を戦いました。
しかし、この手法はSNS全盛の現代では、通用しなくなってきています。
「対立」を超え、「共感」へ
意識が多様化した現代は、「対立」を超え、「共感」で結びつく時代になりました。
オバマは対立候補を攻撃しませんでした。
オバマが有権者に伝えた言葉は、マケインの批判では無く、徹底したリサーチに基づいた、有権者のニーズに合った、つまりは「共感」される言葉だったのです。
・マケインはオバマとの対立と批判を語りました。
・オバマは”Change”と”Yes We Can”を語りました。
※ Change = アメリカは変わる必要がある!
※ Yes We Can = 私たちならできる!
このオバマの姿勢が、普段政治にまったく興味を示さなかった若年層の心を掴みました。
有権者との『新しいコミュニケーションのカタチ』をオバマは作ったんですね。
さらに、
・マケインは「”私”に任せてください!」
・オバマは「”私たち”にはできます!」
と、言っていたのも印象的でした。
個人から小口献金を集め、戸別訪問でも”説得”するのではなく、積極的にヒアリングを行っていたオバマ陣営。
企業から大口献金が中心で、マクロターゲットに動き回ったマケイン陣営。
2008年の大統領選挙での両社の姿勢は本当に対照的でした。

日本でも『新しいコミュニケーションのカタチ』は少しづつ見えてきた
今年の東京都知事選挙の際、この『新しいコミュニケーションのカタチ』で選挙を戦った候補者がいます。
家入一真候補です。さすがIT起業家です。
当選には至らなかったものの、政治の世界ではまったくの無名、地盤、看板、カバンなしの状態にも関わらず、88,000票も集めてしまいました。
これは驚愕の数字です。
彼の選挙手法は、オバマの戦略に近いものがありました。
実際に私は家入氏の選挙事務所に出向き、家入氏や選挙プランナーの松田氏に話しを聞きましたが、その手法はまさに「共感」がテーマでした。
クラウドファンディングで1口500円から選挙資金を集め、選挙事務所をオープンにし、政策はTwitterで有権者から声を集めました。
特に印象的だったのは、対立候補である細川護煕候補や、宇都宮健二候補にネット動画サイト(ツイキャス)の使い方を教える姿です。

対立候補に自分が最も得意とするネットを使ったPR方法を手ほどきする姿勢は、若者の心を掴んでいました。
まさに「共感」を産んだわけです。
落合はこう思う
・「対立」よりも「共感」
・「説得」よりも「ヒアリング」
・「大口」よりも「小口」
これらは選挙に関わらず、ネットマーケティングにおいて、ネット上のコミュニケーションにおいて、今後、間違いなく重要になってくるポイントです。
2013年、日本の参院選挙におけるTwitte投稿を分析すると、候補者と有権者の間に大きな溝がありました。
候補者は、「演説」「選挙」「駅」「街頭」というキーワードばかりをつぶやきました。
つまり選挙広報のツールとして一方的に街頭演説のお知らせばかりをしている。
ところが有権者は、「日本」「憲法」「原発」「TPP」と、具体的な政策についてのキーワードをつぶやいているわけです。
候補者のつぶやきと、有権者のつぶやきには大きく乖離があり、その溝は大変深いものでした。
日本の政治家のTwitterのつぶやきは、SNSで最も重要な”共感”とはかけ離れており、インターネットが活用されているとは言いがたい状況です。
ところが、一部の学者が、表面的なツイート数と当選率などの相関データだけを見て、選挙においてインターネット活用の効果は無いと決めつけている現状があります。
本当に日本人はSNSをわかっていませんね…
10年遅れていると言われるのも納得です。
これは選挙だけではなく、ネットを使ったビジネスにも言えることです。
消費者のニーズをヒアリングせず、一方的に割引情報やキャンペーン情報を押し付けていませんか?
「あの商品よりも、うちの商品のほうが優れています!」と対立を煽り、説得するような営業をかけていませんか?
オバマの戦略を参考に、あなたのビジネスにおけるインターネット上のコミュニケーション戦略を見直してみましょうね。
大事なので、もう1度。
・「対立」よりも「共感」
・「説得」よりも「ヒアリング」
・「大口」よりも「小口」
です!
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