目次
動画共有サイトVimeo(ヴィメオ)というオアシスと、加速するYouTube動画の低品質化
落合です。
朝一で気になるニュースを目にしました。
Vimeoの最高経営責任者(CEO)Kerry Trainor氏が退任
報道でも伝えられている通り、VimeoはTrainor氏がCEOを務めた4年の間、大きな成長を見せました。
確かにYouTubeとのユーザー数の差は大きいままですが…
報道では退任の理由までは述べられていない為、詳しいところまではわからず仕舞い。勇退なのか、責任をとって退任したのか…う〜んモヤモヤします。
ちなみにユーザー数比較では
YouTube MAU 10億人
Vimeo MAU 2億8000万人
という状況。

ハイクオリティを打ち出すVimeo
私は昔からVimeoがけっこう好きで、これまでも、隙間時間などに気になる動画を再生しては、ボーッと眺めるようなことを繰り返してきました。
このところ、スパムアフィリエイターの連中が荒らしに荒らし、低品質動画の墓場のようになってしまったYouTube。
著作権無視は当たり前、動画に見せかけたスライドショー、タイトルとサムネイルだけで釣って広告で稼ぐ手法…
さらに情報商材屋がこういったノウハウを販売するものだから、YouTube動画の低品質化が加速しています。
そうなると余計に高品質なVimeoがオアシスのように恋しくなるわけで…
そこで、今回は未だ日本人には馴染みの浅い『Vimeo』という動画共有サイトについてお伝えして参ります。
そういえばこのブログでは、ほとんどVimeoに触れずにいました。なぜだろう…
YouTubeよりも老舗!高品質動画共有サイトVimeo(ヴィメオ)とは?
日本で動画共有サイトといえば、YouTube、ニコニコ動画あたりが主役で、Vimeoの知名度、認知は日本ではまだまだ薄いもの。
しかしながら、Vimeo(ヴィメオ)は決して新しいサービスではありません。
2004年11月に開始した動画共有サイトで、この世界では間違いなく老舗。
YouTubeの設立が2005年2月ですから、Vimeoのほうが歴史が深いのです。
ちなみにVimeoは、2007年10月には、他の動画共有サイトに先駆けて『HD動画』の受け入れを開始しています。
もちろん一般向け動画共有サイトでは初の試みです。
ユーザー数ではYouTubeに劣るものの、常に高精細化を進めるその姿勢は、映像系クリエイターや、デザイナーなどから高い評価を得られています。
Vimeoに高品質なクリエイター作品が集まる理由
まずは非常に高いレベルの映像作品が多数掲載されていることを実感していただきましょう。
以下は『京都』で検索したVimeoのキャプチャーです。

すでにサムネイルから上質感が伝わってきますね。
それでは一番上の動画を実際に見てみましょう。
適当に選んだものとは思えぬ美しい映像です。
なぜだろう?“動画”ではなく“映像”という言葉を使いたくなる…
一応…同じように『京都』でYouTube検索して、最初に目に入ってきた動画
・動画に見せかけたスライドショー
・釣りタイトル
・お決まりの流れるスーパー
最近のYouTubeはこんなゴミ動画が多すぎて本当に嫌になります。
イライラするのでVimeoに話しを戻しましょう。
Vimeoに高品質なクリエイター作品が集まる理由はなぜか?
それは『Vimeoが厳格に利用規約・ガイドラインを定め、適確に運用している』ため。
規約の運用が甘く、ほぼなんでも有り状態のYouTubeとは一線を画しています。
いくつか規約の例を見てみましょう。
自分が制作した動画のみアップロードできる
Vimeoでは、この規約を厳密に定めています。
動画に対する必要なすべての権利 (著作権など) をアップロード者が保有している必要があり、映画、音楽、テレビ番組など、自分で著作権を持たない素材のリッピングは禁止です。
YouTubeのスパムアフィリエイターが得意とする、テレビ番組をキャプチャーした芸能ニュース風紙芝居も、Vimeoではアップロードできません。
もちろん性的コンテンツやポルノ、グロ系などもNG。
商用コンテンツへの規制
商用コンテンツに関するガイドラインもしっかり定められています。
いかなる形式であれ広告が含まれる動画はアップロードできませんし、詐欺的な動画にも厳格に対処しています。
また、LPへの誘導など、ウェブサイトへのトラフィックの増加を目的に大量の動画をアップロードする行為(これもYouTubeのスパムアフィリエイターに多い…)も明確に禁止しています。
規約の中に、素晴らしい一文がありました。
Vimeo は素晴らしい動画を共有したり発見したりする場所です。サイト上の動画の発見に悪影響を及ぼす (過剰な数の検索結果など) 商用コンテンツは、プライベート設定にしておく必要があります。
これは今まさにYouTubeで起きていることで、過剰な数のゴミ動画の投稿により、良質なコンテンツを探しづらくなっている状況。
同様の規約をYouTubeでもしっかり運用してくれれば良いのですが。。。
違反作品の削除
コレが機能しているからVimeoは素晴らしいのです。
Vimeoガイドラインに違反した場合、アカウントが削除されます。
運営者のチェックが行き届いていると同時に、ユーザーも違反動画を見つけると、しっかり通報する文化があります。
ユーザー同士で良い場所にしていくという空気感が出来上がっているのが良いですね。
よく言われる割れ窓理論ではないですが、スパムアフィリエイターのゴミ動画のようなものを放置すると、ユーザーのモラルが低下して、クオリティの確保ができなくなります。それがさらに環境を悪化させる。
自浄作用が働くVimeoの文化は、本当に素晴らしいものですね。
もちろん『ユーザー数が少ないからできること!』『有料の会員制度(Vimeo PRO)があるからだ!』『そもそもYouTubeとは用途が違う!』など、さまざまな意見もあるでしょうが、現状の環境を維持することは楽なことでは無いでしょう。
Vimeoには、運営者とユーザーの素晴らしい協力関係と努力があるからこそ、この良い環境が維持されているのではないでしょうか。
だからVimeoに高品質なクリエイター作品が集まるのです。
もう一つVimeoの素晴らしい映像をご紹介。
ウユニ塩湖の絶景をご覧あれ!
※Vimeoのガイドラインは以下から確認できます。
https://vimeo.com/help/guidelines
Vimeoの難を述べるとするならば…
と、絶賛してきたVimeoですが、難を述べるとするならば、ちょっと日本人向けじゃないユーザーインターフェイス。
YouTubeやニコニコ動画に慣れている日本人には、少し使いづらさがあるかもしれません。

2014年11月より日本語対応されてはいるのですが、どこか直訳的な表現も多いです。
『トレンド中』とか、『さらに動画をロードする』とか、日本人は使わない表現ですよね。
こういったところに取っつき辛さがあって、日本人ユーザーが少ない要因があるように感じます。
プレイヤーは使いやすい仕様なのに、勿体無いなぁと感じます。
ウェブサービスというのは国を超えて使われることが多いですが『その国のユーザーが違和感なく自然に使えるかどうか?』というところが、MAUなどの指標に、非常に大きな影響を及ぼすのです。
MAUとは「Monthly Active Users」の略で、月間アクティブユーザー数のこと。 ソーシャルネットワークサービスや、アプリなどの人気の度合いを表す指標としてもよく使われています。
まとめ
いかがでしょう?動画共有サイトVimeo(ヴィメオ)とは何か?
今回Vimeoをはじめて知った方も、同じ動画共有サイトでもYouTubeやニコニコ動画とはまた違う、その独特な特徴をご理解いただけたのではないでしょうか。
素晴らしい環境で高品質な映像作品が集まるVimeo。
しかしながら、冒頭で述べた通りYouTubeとのユーザー数比較では、大きく遅れをとっています。
その数字は『ユーザーの用途や、存在意義そのものが違うよ!』のひとことで済まされるほどカンタンな問題ではありません。
ウェブサービスというものは、成長も早い分衰退も早い。
ダメになるとあっという間に消えて無くなる世界です。
もっともっとVimeoが世に知られ、多くの人が使い、優れた映像作品が世に生まれて行く。
そうなることを願っています。