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日本のダイヤは正確だ!電車で眠れるほど安心だ!って…インバウンドビジネスの視点から言えば、どうでも良い話です。
あらかじめ断っておきますが、私は日本人です。そして日本が大好きです。
その上でこの記事を書いています。
このところ地方などで「Webを使った観光客の誘致」をテーマに講演の依頼が来ることが増えています。
この場合の”観光客”というのは、“訪日外国人観光客”も含めて考えねばなりません。
このような活動をしている中で観光産業に携わるさまざまな人と会話をしていると、日本人が持っている感覚と、インバウンドビジネスに必要な視点とで、かなりズレているなぁと感じることが多々あるのです。
なぜか多くの日本人は、自国の交通機関に自信があるようです。
・日本のダイヤは正確だ!1分も狂わない!
・電車で眠れるほど安心だ!スリにも遭わない!
みんな口を揃えてコレを唱えます。
Web上にもこういった内容の記事が多数見られますね。
確かにこれらは”良い事”ではあります。
しかしながら、海外から多額のお金を使ってやってくる訪日外国人観光客にとっては『驚きはするけど、どうでもいいこと』であることに、我々は気付かないとなりません。
もっと別の部分で、日本の交通機関は訪日外国人観光客に嫌われているのが現実です…
少子高齢化が進む中、日本の経済を立てなおすには訪日客のインバウンド消費は欠かせません。
と、いうよりも、これまで内需で充分に経済をまかなえていただけに、手付かずだった訪日外国人向け観光産業は超巨大なビジネスチャンスでもあるのです。(もちろん東京オリンピック効果も望めます)
そんな中、こういった意識のズレがあると、せっかくのチャンスを取りこぼしてしまうのです。
ですので、少しでも多くの人に気づいてほしいなとおもい、ちょっと厳しいタイトルを付けました。
今回は日本の交通機関とインバウンドビジネスについて。
日本の交通機関が訪日外国人観光客に嫌われている理由
苦言のような形で書いていますが、日本が大好きな日本人として、私も多数の外国人に日本の素晴らしさを知ってもらいたいという願望はあります。
そのためにも、訪日外国人に優しい交通機関にしていかなければならない。
日本の多くの交通機関は上記にも書いた通り、内需で充分にまかなえていたことから“日本人専用”に作られています。
外国人からすれば不便に感じることが多数存在します。
近いようで遠い成田ー東京間と超高額なタクシー料金
多くの訪日外国人が利用する成田空港。かつての正式名称は「新東京国際空港」でした。
※2004年から成田国際空港が正式名称になっています。
その名称のせいなのか、狭い日本の地図の印象なのか、訪日外国人としては都心のすぐ近くのように感じるようで、成田ー東京間の移動をあまり意識していない人が多いのです。
実際に私の米国在住の友人も、成田空港から都内のホテルまでの移動に『近くだしタクシーでいいか!』と乗り込むと、21,000円という高額な価格に驚いたというケースがありました。(深夜早朝だと25,200円です…)
ヨーロッパなどでは国を跨ぐ航空運賃でも、日本円換算数千円で移動できることを考えると、外国人にとって驚異的な高さです。
しかもクレジットカードが使えないタクシーもあるようで、決済サービスにも不満足な外国人は多いです。
空港から東京へのアクセスの悪さ
では日本人が自信を持っている、電車でのアクセスはどうでしょうか?
よほど詳しい外国人でない限り、京成線に乗って乗り換えて…なんてできません。
言葉の通じない異国で、電車の乗り継ぎは恐怖です。
多くの外国人は都心まで直通でわかりやすいJRの『成田エクスプレス』を使うでしょう。
ところが、成田空港の国際線最終到着便では最終の成田エクスプレスに間に合いません。
この日のスケジュールを見ると、21時の到着の便も多く、外国人用の入国カウンターの少ない成田での到着を考えると、この便でも急いでギリギリといったところでしょう。
【国際線空港到着便スケジュール】
※見辛くてすいません!
【成田エクスプレス時刻表】
※見辛くてすいません!
繰り返しになりますが、言葉の通じない異国で、焦らされるのも辛いものです。
22時台にもう一本あるだけでも、訪日外国人は何も不便を感じることは無いでしょう。
国際線空港到着便スケジュールを見ると、日本にとって主要のお客様(訪日人数トップに連なる)である、台湾、米国、韓国、中国からの便だけに、とても気になってしまいます。
始発も同様に厳しいスケジュールになっています。
訪日外国人観光客にもう少し優しい成田ー東京間のアクセスが望まれます。
日本の通勤ラッシュと訪日外国人観光客の苦悩
外国人にとって日本の通勤ラッシュは異常です。
傍目に見れば面白い光景なのかもしれませんが、多くの荷物を抱える外国人観光客にとって、都心の7時半〜9時は移動不可能な時間といっても過言ではありません。
だからといって超複雑な日本の路線バス、世界トップレベルに高額な日本のタクシーを使うのも…
時間に追われた外国人観光客が大きな荷物を抱えて通勤ラッシュの山手線に乗り込み、イライラしたサラリーマンに舌打ちでもされたら、二度と来たく無くなるほど日本を嫌いになることでしょうね。
これも外国人観光客を悩ませる、日本の交通機関の厳しさです。
ソースが見つからないので、データの信憑性の議論はありますが、ネット上には以下のようなグラフも出回っています。
【世界の駅の乗降客数ランキング】
※見辛くてすいません!
1位の新宿から、23位の押上まで上位23位まで日本が独占。24位でようやくパリノール(パリ)25位が台北駅(台北)になっています。
狭い国土に1億2線万人の日本。このデータもあながち嘘とも思えません…
これでは外国人も身動きがとれないですよね。
まとめ
いかがでしょうか?
日本の交通機関は訪日外国人観光客に好評!
なんてものは、日本人の勝手な思い込みに過ぎないことが、よくご理解いただけたかと思います。
実際に観光庁のアンケート調査でも外国人旅行者の交通機関への不満は、その結果に顕著に表れています。
※クリックで拡大
これまで内需だけでまかなえていた日本は、交通機関に限らず、さまざまな面で“日本人専用”仕様になっているモノ・コトが多く、外国人観光客にとって不便で、優しくありません。
日本人が本来得意であるはずの、相手の立場に立った「おもてなし」ができなければ、日本のインバウンド事業は、ますます近隣諸国に遅れをとってしまいます。
オリンピックを控える日本。
『日本旅行は行かないほうがいいよ!』
と、外国人観光客に言われないように、本当の意味で歓待する仕組みづくりが、官・民の双方に必要となっているのです。
今の時代、悪評はWebを通じてすぐに拡散してしまいます。
日本の素晴らしさを海外に知ってもらうためにも、早急な対応が必要なのです。