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これからSNSを活用・運用しようとしている企業に対し、私が『無理してFacebookページの運用を行う必要はありません』とお伝えしている理由
落合です。
SNSがもはや流行ではなくインフラとして活用されはじめている現在、多くの企業もSNSの活用・運用を行なっています。
同様にこれから運用を開始しようとする企業も多々存在しており、私のもとにも多くのご相談が届きます。
その中でも、世界最大のSNSであるFacebookの運用管理についての質問は絶えることはありません。
法人によるビジネス活用なので、Facebookでの活動は個人アカウントではなく、Facebookページの運用管理という話になりますが、私は昨年の初頭から、
『無理してFacebookページの運用を行う必要はないです。』
と言い切るようにしています。
記事タイトルにある『Facebookページの運用は辞めなさい』は、ちょっと言い過ぎかもしれません。
しかしながら、今からFacebookページの運用にリソースを割くのであれば、TwitterやInstagramの運用や、ストックメディア(ブログ、YouTubeなど)の運用に力を注いだほうが良いというのは、現在の私の持論です。
なぜ世界最大のSNSにおけるビジネスページ、Facebookページを重視しないのか?
今回は、その理由についてお伝えしていこうと思います。
なんか誤解があるようなので追記… ブログ記事の中で、Facebookページを育てるのは大変だから、”初心者のうち”はFacebook広告に注力した方が良いって話をしましたが、あくまで”初心者のうち”って話ね。エッジランクに打ち勝てる力付いたら、Facebookページは強い武器になります。やったほうがいい。
— 落合正和@SNS講演講師依頼承ります (@ochiaiabe) 2018年3月20日
どちらにせよFacebook広告出すなら、一度はFacebookページを作る訳で、慣れてきたら一度は挑戦したほうがいいよ。でも初心者のうちからやると遠回りする人のほうが多い。コントロールの効くFB広告使って感覚的にアルゴリズム掴んでからね。本格参入は。
— 落合正和@SNS講演講師依頼承ります (@ochiaiabe) 2018年3月20日
Facebookページのオーガニックリーチ数は(広告を使わずにユーザーに届く数)年々低下しており、エッジランクのアルゴリズムも厳しい状況
2007年からサービスが開始されたFacebookページ(開始当時はファンページという名前でした)も、もう11年目になり、取り巻く環境も大きく変わってきました。
※Facebookそのもののサービス開始は2004年
オーガニックリーチ数(広告を使わずにユーザーに届く数)は年々減少傾向にあり、投稿がファン(いいね!した人)に届く数は、
2012年まで 〜 平均16%
2014年頃 〜 平均6.5%
2016年初頭 〜 平均2%
などと言われていました。
そして現在、私の管理しているFacebookページ、お客様のFacebookページの運用結果を見ると、上記の平均よりは高い数値を維持しているものの、上記の平均値同様に年々リーチは狭まり、2016年以降の回復は見られません。
※ぜひあなたも、インサイトでFacebookページ投稿のパフォーマンスを確認し、数年前と比較してみてください。
かなり厳しい数字と言わざるを得ません。
ここまで読むと、
『えっ?リーチって何の話?Facebookページの投稿はいいね!したユーザーみんなに届くんでしょ?』
と、思われた方も多いと思いますが、他のSNSなどと異なり、Facebookにはエッジランクという独自のアルゴリズムが働いており、投稿の全てがニュースフィードに表示されない仕組みになっています。※厳密な話は注釈内の記事参照
このアルゴリズムが年々厳しくなり、オーガニックリーチが減少しているわけです。Facebook社はガンガン締め付けを行なっています。
そこで湧いてくる疑問が、
『なんでFacebook社はアルゴリズムを厳しくするの?』
ということですが、これはFacebook社の営業戦略に大きく関わってくるものです。Facebook社も慈善事業者ではなく上場している営利団体。
当然売り上げを伸ばさなくてはなりません。
つまり、Facebook社は、
『多くのユーザーにリーチしたいんだったら広告をつかってくださいな』
と言い出しているってことなんですね。
サービスが開始された2007年〜2012年頃までは、何よりもユーザーの数を増やすことが目的でした。
それが、2014年ころから少しずつマネタイズへの比重が高まり、2016年以降は成長よりもマネタイズに軸を以降したというわけです。
それもそのはず。現在のFacebookユーザーは、アクティブなアカウントだけでも月間20億人を越えています。
Facebookのユーザーはすでに十分な人数を確保しており、種まきの時期を越え、収穫期に入っているということ。
マネタイズのフェーズに移行したから、アルゴリズムの締め付けが厳しくなっているわけです。
リーチ減少の理由は、Facebook広告を使えということなんですね。
そんな理由から私は、現在のFacebookページのアルゴリズムを初心者が攻略し、努力に見合った成果を出すのは困難。だからこそ、新規参入者は、
『無理してFacebookページの運用を行う必要はないです。』
と、お伝えしているのです。
Facebook広告(Instagram広告を含)はコストパフォーマンスに優れ、効果的!
上記で述べたFacebook社の戦略がピタリと嵌っているせいか、世界中でFacebook広告、Instagram広告は売れまくっています。
つい先日の第4・四半期決算でも、モバイル広告収入が堅調に伸びており、総広告収入は127億8000万ドルという想像もつかないほどの数字になっています。四半期で1兆円を超えているんですね。
もちろん毎期毎期右肩上がり。
これだけ売れているということは、広告の出稿主が大きなメリットを感じているからこその話。
確かに、
・最低出稿金額が100円に設定されており、Yahoo!やGoogleなどに出稿するよりもはるかに手軽
・実名制で年齢、住所、興味まで詳細なデータを活用している為、精度の高いターゲティングが可能
・いいね!やシェアなどにより、広告費以上の拡散性を持つ
などの多大なメリットと独自の特徴を備え、現状世界に存在するあらゆる広告の中でも、トップを争うレベルに優れたプラットファームであることは間違いありません。
とにかくコストパフォーマンスが最高。低価格で出稿できるため、スモールビジネスオーナーやスタートアップでも本来負担となる広告準備金が必要なく、とても活用しやすい。
私も自身の顧客には全力でオススメしています。
Facebook広告を使うコツ・木、金曜日はパフォーマンスが高い |
これだけアルゴリズムを厳しくしてもさほどFacebook批判が起きない理由は、たとえ有料であっても、代替となるFacebook広告がとてつもなく優れた存在だから…ということでしょう。
約40億円の資金調達を行い、クックパッドの牙城を崩すかの勢いである、レシピ動画アプリ「クラシル」においてもFacebook広告は大変効果があったと社長がインタビューで答えています。
同業者のデリッシュキッチンもFacebook広告はかなり活用していたのではないでしょうか。私も本当に何度も見かけました。
その絶大な広告効果は恐ろしいほどです。
ユニークで強力な優位性を持つFacebook広告、その一方で信頼性の低下を懸念する声も
圧倒的な売上と、その効果を誇るFacebook広告ですが、ここ最近その信頼性を懸念する声も出てきました。
食品、日用品などの世界的大手企業であるユニリーバが、フェイクニュース、違法コンテンツの増加から、Facebook広告掲載の中止を検討しているというニュースも流れました。
監視体制が十分に確立できない場合は、広告出稿をやめるという警告も。
Facebook広告の承認プロセスはかなり緩く、基本的な指針にさえ反していなければ、多くの場合掲載が許可されます。
掲載後のチェックも入ってはいますが、他の広告プラットフォームに比べかなり甘いほうでしょう。
日本においても同様の傾向は見られ、
・あたかもその商品がTVに取り上げられたかのような画像を偽装したり
・広告なのに一般投稿のように見せかけたり
・薬事法に抵触していたり
・粗悪な商品や詐欺に近いものを売ろうしていたり
といった騙し広告に近いものから、違法なものまでが存在している事実は否めません。
あなたもそのような疑わしい(もしくはモロに悪質な)Facebook広告を目にしたことがあるのではないでしょうか?
もちろんFacebook社も、昨年末より広告監視要員を2万人に倍増したり、不適切な投稿、広告を検出する人工知能(AI)の開発をおこなっていたりと、対策に力を入れています。
しかしながら、現状ではいたちごっこ。悪徳業者は新規アカウントを次々に生成し、悪用を繰り返しています。
四半期で1兆円を超えるほどの顧客数を抱えた状況下では、対策もまだまだ不十分であるようです。
まとめ
と、いうことで私は、
『無理してFacebookページの運用に力を入れる必要は無い』
ということを今後も提唱していきたいと思います。
もちろんこれまでの積み重ねで上手に運用できている方、アルゴリズムの攻略に成功している方などは、この限りではありません。
これから本格的にSNSマーケティング、SNS活用に参入!ということであれば、間違いなく、他のSNSに力を入れたり、ストックメディア(ブログやYouTubeなど)のコンテンツを増やしたほうが良いパフォーマンスを得られます。
または、高い効果を得られるFacebook広告の運用に力を入れるべきでしょう。
しかし、その効果の反面、有象無象の広告出稿主が現れたことで、その信頼性が懸念されている現状もあります。
この先、Facebook社が信頼性の回復に努めなければ(間に合わなければ)『Facebook広告を出している』ということが、マイナスのブランディングに寄与しかねません。
都度状況を見ながら適切に判断し、Facebookを活用していきましょうね。