ペルソナの設定、甘い人が多すぎます。できたつもり…は危険です。
ちゃんと出来てますか?ペルソナの設定。
マーケティングを打っていく中で、最も重要であり最優先事項。
とにかく大事な『ペルソナの設定』ですが、これが甘い人、企業が多すぎます。
マーケティングのスタートは、ペルソナを詳細に、明確に、ストーリーを持って定めること。
それが出来てはじめてその先の集客手法や、用意するPOPやら、看板やホームページ、ブログのデザイン、ライティングといった施策の方向性が見えてくるわけです。
『ペルソナ』と呼ばれる架空のターゲット顧客を構築する理由は、対象者を明確にし、よりターゲットに対する理解を深め、強力なアプローチを行い、訴求力を高めるということですが、これがもうガバガバなケースが多く見受けられます。
どんな業種であろうと、顧客がいるビジネスは、ペルソナの設定はとても重要なことです。
『共感』が重要な今の時代のマーケティングで『ペルソナ』を設定しないのは怠慢でしかありません。
今回は、ペルソナ設定に必要な要素、設定の方法についてお伝えいたします。
アンチ無ければファンも無し!誰にでも好かれようとするな!
私のセミナーに参加している人は「しつこいなぁ…」と感じるかもしれませんが、何度でも言わせていただきます。
『マス・マーケティングは死にました。』
誰にでも好かれようするマーケティングが通用する時代はもう終わったのです。
アンチ無ければファンも無し!
かつて、テレビCM、ラジオCM、新聞広告といったマスメディアで大衆を誘導していたマスマーケティング。
不特定多数の消費者に向けて広告を発信するマス・マーケティングのモデルは、情報が限定され、大量生産、大量消費の時代には本当に有効的な手法でした。
需要が生産を上回り、情報の流通が少ない、高度経済成長期〜バブル期においては、
多くの人に知らせる=売れる
の構図が成り立っていたために、広く浅くみんなに知られ、好かれれば良い時代でした。
しかしながら、現代でそれは通用しません。
多くの人が十分にモノを持ち、需要は減少していきます。
インターネットの発達、スマホの普及により、消費者の得られる情報は何千倍、何万倍にもなりました。
結果、消費者のニーズは多様化は進み、「みんな欲しいモノが一緒。」という時代ではなくなってきています。
かつてみんなが欲しがったテレビ・洗濯機・
マス・マーケティングは限界を迎えているのです。
それに、我々のような巨額資本を有さない小さなビジネスを営む者には、マス・マーケティングを打つだけの余裕もありません。
そうなれば、顧客のターゲットを絞り込み、「個」に訴求し、強力なファンを作っていくしかありません。ファンが育つということはアンチも増えます。ビジネスを展開する側には、「個」の感情に響く強い主張や、「個」の共感を得る、強い個性が必要です。
今の時代、
誰にでも好かれようとする=誰にも見向きされない
と、いうことです。
Apple製品も、AKB48も、イケダハヤトも、ファンは多いがアンチも多い。
そうじゃなきゃ売れない時代です。
「僕は誰にでも好かれるようなマーケティングがいいんですが…」
なんて思ってるなら危機感を持ったほうがいい。なんの主張も持たない製品、商品なんて、誰からも共感されない時代なのです。
だからこそ、ターゲットを明確にする『ペルソナの設定』が必要になってきます。

ペルソナの設定方法
ペルソナとは、あなたの商品、サービス、製品を使う、またはあなたのお店を好きになってくれる、象徴的な顧客像のこと。
ターゲットとなる象徴的な顧客像をより細かく具体化していくことで、たくさんのメリットが生まれてきます。
これはWebマーケティングだけの話ではなく、オフラインを含めた、すべてのマーケティングに言えること。
マーケティングの勉強をしている人はよく聞くと思いますが、パレートの法則というものがあります。
「経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」という説ですが、ペルソナの設定もその説に則っています。
“2割の象徴的な顧客像を浮き彫りにし、そのターゲットに訴求すると、8割のニーズをカバーできる”
と、いう考えです。
では、どのようにペルソナを設定していけば良いのでしょうか?
ザックリした設定では、何も見えてこない
マス・マーケティングが死んだ今、企業視点の上から目線マーケティングはもう通用しません。
顧客と共通な話題を持ったり、顧客が心地よいものを提供したり、顧客に面白いと思ってもらう必要がある。
つまり、「共感」を得なきゃいけない。
と、なると、顧客の好みや生活環境、趣味嗜好を探る必要がありますが、ペルソナがガバガバだとまったく刺さるメッセージなど送ることができず「共感」を得ることはできません。
今回、この記事を書こうと思ったきっかけも、多くの人や企業が、ガバガバにペルソナを設定して、出来た気になっているからです。
例えば、
・サラリーマン
・男性
・30台
・4人家族
・郊外に住む
といったペルソナの設定。
こんなザックリな設定じゃ、なにも見えてきません。
ペルソナが、何が好きで、どんな生活パターンを送っているのか、どの程度の経済的余裕があるのか、そういった様子がさっぱり読めません。これでは当然、どんな施策が響くのか?という戦略だって立てようがないです。
でも、多くの人や企業が、この程度の設定で『ペルソナの設定できました!』と思っています。
明確に想像できる人物像が浮かんでくるまでに、掘り下げないことには、その人の人柄やライフスタイル、行動パターンなんてイメージすることはできません。
小説の主人公などは、読むにつれて情報が増えていき、物語後半になると、自然と主人公の顔が脳内で想像できてきます。想像しようと意識を働かせなくても、勝手にイメージが出来上がってくる。あなたも経験があるのではないでしょうか?
適切な共感ポイントをおさえ、刺さるアプローチを狙うためには、多くの情報が必要になるのです。
自然と顧客の顔が浮かぶだけの設定を行う必要があります。
では、どこまで掘り下げれば良いのか?
徹底した深堀りが、良質な施策を生み出す
上記で述べた通り、情報量は多ければ多いほうが良いです。
では、どこまで掘り下げれば良いのでしょうか?
以前、私のプロデュース案件で、ある企業が実施したペルソナシートを例に挙げましょう。
・性別
男女で嗜好も思考も異なります。ここの設定は当然です。
『でも…弊社の商品は男女変わりなく購入頂いており…』…みたいな人は”振り出しに戻る”です。一番上から読み返しましょう。
・年齢
これも言うまでもありません。年齢だけでなく、生年月日まで決め、学年まで確認しましょう。『プロ野球の◯◯選手と同学年』のように、わかりやすく設定すると、より刺さりやすい施策が浮かびやすくなります。
・職業
サラリーマンとか、営業職とか、ザックリした設定はNGです。『◯◯◯株式会社 営業部営業2課 課長 課内の部下は8人、同課の係長を3年経験の後、2013年12月課長に昇進。現在に至る』ぐらいまでの設定は必要でしょうね。
・年収
我々はモノやサービスを販売したいわけですから、この項目は必須です。
年収500万円
月収(手取り) : 305,000円
・住宅費 : 105,000円
・食費 : 45,000円
・光熱費 : 15,000円
・通信費 : 20,000円
・日用品 : 15,000円
・保険 : 15,000円
・子供の教育費 : 10,000円
・小遣い(交際費) : 35,000円
・貯金 : 30,000円
・雑費 : 15,000円
この一例ぐらいの詳細な設定をしておきましょう。
・学歴
ここも大卒、高卒、みたいなザックリした設定はやめましょう。
『都立◯◯中学校卒業の後、◯◯高校から、日本大学 文理学部卒業。部活は中学時より一貫して野球部に所属。高校時代は県大会決勝まで進み、あと一歩で甲子園を逃した。』
ほら、ここまで設定すると、いろいろ見えてくるでしょ。
・趣味
ここも、野球。みたいなザックリ設定はダメです。
『隔週土曜日には中学、高校時代の野球仲間と草野球を楽しむ。ポジションは投手。そんな姿を見た長男も、最近野球に興味を示し、休みの日には親子でキャッチボールをすることも。』くらいまで設定しましょう。
・恋人の有無・未婚・既婚・子供の有無
これも、
『結婚6年目。3歳の長男と1歳の長女、同い年の妻と4人家族 妻は大学時代の同級生、野球部のマネージャを務めていたことから大学4年時に交際が始まり、6年の交際の後に結婚。現在でも仲良く、会話の絶えない家庭』のように、詳細に…
・その他
他にも設定できる項目はいくらでもあります。勤務時間や、通勤時間、就寝時間、起床時間といった仕事に関わる設定や、住居などの設定も重要でしょう。インターネットの活用時間、政治思想、スマホの利用時間等々も設定できるはずです。
・名前
より身近に感じられるように、設定した人物像に名前をつけましょう。絵が得意な人は似顔絵を描くなどするのも良い方法です。ここまでやれば、かなり具体的に施策を講じることができます。
詳細に、明確に、ストーリーを持って定めること
このように詳細に設定を定めると、自然とそれに伴う施策を講じることができるようになるはずです。
設定する項目ごとに詳細なストーリーを持たせることで、想像は膨らみ、その人物像に対するアプローチの仕方が見えてくるのですね。
最初のペルソナと比べてみましょう。
・サラリーマン
・男性
・30台
・4人家族
・郊外に住む
・杉原浩二 男性 33歳 女優の安達祐実、プロ野球の内海哲也選手と同学年
・結婚6年目 3歳の長男と1歳の長女、同い年の妻と4人家族
妻は大学時代の同級生、野球部のマネージャを務めていたことから大学4年時に交際が始まり、
6年の交際の後に結婚。現在でも仲良く、会話の絶えない家庭。
・趣味は野球 隔週土曜日には中学、高校時代の野球仲間と草野球を楽しむ。
ポジションは投手。そんな姿を見た長男も、最近野球に興味を示し、休みの日には親子で
キャッチボールをすることも。
・学歴は、都立◯◯中学校卒業の後、◯◯高校から、日本大学 文理学部卒業。
部活は中学時より一貫して野球部に所属。
高校時代は県大会決勝まで進み、あと一歩で甲子園を逃した。
・◯◯◯株式会社 営業部営業2課 課長 課内の部下は8人、同課の係長を3年経験の後、
2013年12月課長に昇進。現在に至る。部下の信頼は厚く、上司からも慕われている。
・3年前に35年ローンで購入した千葉県松戸市の戸建て住宅から、常磐線、銀座線を乗り継ぎ、
日本橋の会社オフィスまで通勤
・年収500万円
月収(手取り) : 305,000円
・住宅費 : 105,000円
・食費 : 45,000円
・光熱費 : 15,000円
・通信費 : 20,000円
・日用品 : 15,000円
・保険 : 15,000円
・子供の教育費 : 10,000円
・小遣い(交際費) : 35,000円
・貯金 : 30,000円
・雑費 : 15,000円
前者と後者、どちらが施策を講じやすいですか?
後者はもうペルソナの顔を想像できるばかりか、家族の様子や、会社での仕事ぶりまで想像がついてしまうのではないでしょうか?
詳細な設定に加え、ストーリーを履かせることで、容易に顧客像を明確にすることができます。
この後に、杉原浩二氏は
・何を欲しがるのか?
・何に共感するのか?
・どんな悩みを抱えているのか?
そんなことを考えながら、当てはまるものを施策に落とし込んでいけば良いのです。
これが、ペルソナの設定です。
まとめ
いかがでしょうか?
ビジネスの現場にいると、つい数字やキーワードでばかり、人や物事を考えてしまいがちです。
「今日は○万円受注したに!」
「今月のノルマまであと◯本!」
「月間10万PV達成!」
こんな会話ばかりしているのだから、当然かもしれません。人が数字に見えてきます。
でも、お客さまは決して数字やキーワードなどではありません。生きた、血の通った人間です。お客さま全員に違ったストーリーがあり、それぞれの人生を生きています。
しかしながら、しっかりとしたペルソナの設定さえできていれば、
「このお客さまは◯◯に悩んでいるから、これは喜ぶだろう!」
「このお客さまは◯◯好きだよな!こういう商品にしようよ!」
と、いったように、お客さまの感情視点で物事を見ることができるようになります。だから、共感され、心に刺さるコンテンツ、商品、施策を生み出すことができるのです。
数字は大切です。ビジネスには欠かせない存在です。でも、数字から生み出された商品や施策はお客さまに刺さらないのです。
大企業が大金を使ってビックデータを解析したにも関わらず、ヒット商品をなかなか生み出せない理由はここにあります。
PVばかり稼いで、一切売り上げの上がらないブログも同様です。
ペルソナ設定はとても面倒な作業かもしれません。
しかし、詳細にストーリーを持ったペルソナの設定がキチンと出来れば、これまでとは違った視点が生まれ、顧客に喜ばれる商品、コンテンツ、施策を生み出すことができるようになります。
ぜひお試しくださいね。