INTERVIEW 〜いま知りたい!を聞く〜 第3回『18歳選挙権へ!主権者教育のやり方とは? 後編 NPO法人Rights副代表理事 西野偉彦さん』

不定期連載「INTERVIEW 〜いま知りたい!を聞く〜」第3回(後編)

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「INTERVIEW 〜いま知りたい!を聞く〜」第3回(後編)になります。

前編をまだお読みになっていない方は、まずこちらからお読みください。

それでは後編をスタートします。

【後編】

主権者教育の副教材「私たちが拓く日本の未来」の見直しはあるのか?

落合
2015年度は、既にこの副教材が出来上がってしまっているわけですけど、今後、この副教材を見直しなどの可能性はあるんでしょうか?せっかく西野さんが新しいプログラム(『社会的意思決定学習』※インタビュー前編を参照)を提案してくれているわけですから。
西野
まぁ…私の見通しですけれども、一旦作られたモノなので、少なくとも来年の参議院選挙まで改訂はないでしょう。参院選後に、副教材の効果や課題を検証して、内容を見直す可能性もあるとは思いますが、ただ、私のプログラムしかり、他にもNPOや学校の先生方が色々な試みをしています。要するに、文科省の副教材だけに頼るのではなくて、トライ&エラーでやっていけば良いと思います。教育にトライ&エラーは望ましくないのですが、なにしろ主権者教育という、戦後日本でほとんど積み重ねがないことをやろうとしているわけですから。試行錯誤のなかで、よりよい主権者教育の教え方を探っていくということなんじゃないかなと思います。
落合
ちょっと気になったことなんですけど、教科書問題。通常、教科書は複数の会社が作り、教科書採択というものを経て、さまざま問題が起きているじゃないですか。今回のこの副教材は、例えば『ウチではこの副教材使わないよ!』と、学校や自治体などが判断するのはアリなんですか?
西野
おもしろい質問ですね。そもそも主権者教育は正式な科目ではないため、「副教材」は教科書ではありません。なので、『ウチでは別の教材で』という学校も出てくると思います。ただ、高校では2022年度以降に学習指導要領が改訂され、新しく『公共』という科目が導入されることが検討されています。この『公共』は今までの、政治経済や現代社会といった公民系科目を再編される形で作られる予定です。そこには政治参加という主権者教育も当然入ってきます。今回の『18歳選挙権の副教材』の立ち位置は、そこに向けての助走期間というようにも捉えられますので、この『公共』という科目が出来た時には様々な教科書が生まれるというようになるのかもしれないですね。
落合
逆に言えば、学習指導要領が改訂されて『公共』が設置されるまでの間は、いろいろな主権者教育のプログラムを試すチャンスでもあるということですよね。
西野
そうですね。私の『社会的意思決定学習』もどの学校でも取り入れられる主権者教育として提示しています。とはいえ、主権者教育を考える上では、マスメディアやインターネットの影響力も看過できません。つまり、学校以外のファクターが占める割合がとても大きい。学校だけではカバーしきれない部分をどうするのか?ということは、主権者教育をやる上で自覚しなきゃいけないかなと思います。
落合
18歳から選挙権が付与される。ところが義務教育は15歳で終わるわけですよね。今回のこの副教材も高校生向け。そうすると、高校に進学しなかった人は全く主権者教育を受ける事ないわけです。これって問題だと思うんです。本来は義務教育に導入しなくちゃいけないと思うんですが、どうなんでしょう?
西野
面白いご指摘です。だからこそ海外、例えば北欧の地域とかでは、もう幼稚園からとか、小学校低学年から事実上の主権者教育をやっているわけです。ところが日本では、『18歳選挙権だから高校生にやらせればいい』と言うわけです。でも本当は違う。義務教育の中にも社会科の授業はあり、公民の授業がある。そうした既存の授業と合わせて、早い段階から文科省が進めているアクティブラーニングのように、実践的に政治参加を学ぶプログラムを導入していった方がいい。今の主権者教育は対処療法的になっていると思います。
落合
義務教育の公民で習ったことなんて、参議院が6年、衆議院は解散があるよ…って。その程度しか教わっていない気がします。政治参加について考えるプログラムはないですもんね。暗記はさせられますけど。う〜ん…問題ですね。
西野
一方で、政治経済だけやっているわけにはいかないわけですから、例えば、お茶の水大学付属小学校は、『市民』という独自の科目を作って教えています。内容は政治経済の小学校バージョンみたいなものですけど、この学校の素晴らしいところは、その『市民』という科目を専任の教員だけがやればいいというスタンスじゃないんです。
西野
算数を『市民』の目線から考えるとどうなるのか?とか、国語を『市民』の目線でどうするのか?とか、どの科目の教員でも、そういった目線で教える事ができるようになっている。もちろん小学校だからできる…というのもありますが、その感覚がすごく大切で、政治経済、社会科、生活科など、公民の科目だけを主権者教育にすればいいっていう事じゃなくて、どの科目の、どの先生でも、主権者教育の視点を入れながら取り組む事が出来るようにしなければならない。これは、教員養成論になってくるとも思いますが、必要なことだと思います。
落合
いや、本当にその通りですね。ありがとうございます。

主権者教育は選挙教育ではない

落合
最後に西野さんから『これだけは言っておきたい!』というような事があれば是非!
西野
一言で言えば、主権者教育は選挙教育ではないということ。投票率を上げる、選挙に行かせるための教育では全然ダメで、日本人にとってそもそも民主主義とは何なのか?政治に関わっていくのは一体どういうことなのか?政治とは何なのか?ということをしっかり考え、捉えていく。それは、本当は子どもだけじゃなくて大人も一緒にっていうことです。私自身も、『社会的意思決定学習』など様々な実践・研究を通じて、そういうきっかけになれるような教育のあり方を世の中に発信し続けていきたいですね。
落合
ありがとうございます。いいお話が聞けて嬉しかったです。ネットで識者のコメントとかを見ていると投票率の話しかしていないので、不安に思っていました。
西野
メディア的にも「投票率を上げよう」的なメッセージの方がわかりやすいですし、絵になりますからね。でもそれだけではいけない。
落合
本質がそこに行っちゃうと、おかしな事になりますよね。今日は本当にありがとうございました。
西野
ありがとうございました。

最後に

『主権者教育は選挙教育ではない』この言葉がとても印象にのこりました。

日本で初めて導入される主権者教育。この分野においては欧米と比べても、まだまだ日本は出遅れているように感じます。

そうは言っても、次期参議院選挙は間近に迫っているわけで…

重要かつ難しい問題。

1日も早くブラッシュアップされ、より良い教育ができるようになることを願います。

人づくりは、国づくり。日本の教育再生への取り組み。今後に期待したいですね。

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