地方自治体のWEB活用、SNS(ソーシャルメディア)活用 〜事例と成功に必要な要素、問題点について述べてみる〜

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地方自治体においても、SNS(ソーシャルメディア)、またはオウンドメディアなどを含めた、ウェブの活用は必須の時代。しかしその実情は…

地方自治体においても、SNS(ソーシャルメディア)、またはオウンドメディアなどを含めた、ウェブの活用は必須の時代になってきました。

新聞、テレビ、雑誌といった、旧来のメディアを使うのに比べ、SNS等のウェブ活用はコストを限りなく抑えられますし、一度発信すれば工夫次第でその効果を継続的に維持することができます。

テレビはCMが流れたその瞬間しか効果は得られません。新聞広告、雑誌広告なども、掲載されたその日、または長くてもその週のみしか効果を得られません。

それに対し、SNSやオウンドメディアは違います。

SNSでバズれば、まとめサイトなどでも言及され、検索エンジンにもインデックスされて、長く人の目に晒されます。

オウンドメディアからの発信も、しっかりとSEOを施すことで、長く検索されるコンテンツを積み重ねることが可能です。

しっかりと運用できれば、SNSやオウンドメディアは大変利用価値の大きいメディアになります。

そのような背景から、多くの地方自治体がさまざまなSNSにおいて公式アカウントを開設、運用をはじめていますが、あまり稼働状況がよくなかったり、酷い場合は放置され、まったく更新が無いものも散見されます。

佐賀県武雄市のFacebook活用事例、海外事例から見る、SNS活用、公式アカウント運営の難しさ

佐賀県武雄市が、市役所の公式サイトをFacebookページに移行するという話題はテレビなどでも大いに取り上げられ、一時期大変な話題にもなりました。

他の自治体もそれに続けとばかりに、成功事例として取り上げた資料は、いまだ検索エンジン上に残っています。

それだけ騒がれた佐賀県武雄市も、現在はFacebook課が廃止。

Facebook運用そのものもあまりうまくいっていないようで…

市民の声をコメント欄から吸い上げるというアイデアは悪くないと思いますが、ほとんどコメントがついた投稿がみられません。

以前、とある元政治家の方とお話した時、武雄市のFacebook運用は成功していると話しておられて、その理由は「話題になったから」と言っていました。でもそれは”Facebook運用”の成功ではなく、一瞬の話題作りが成功しただけ。少なくともSNSを上手に活用した事例として挙げることではないと私は感じます。

他の自治体も同様で、投稿が盛り上がり、コメントや「いいね!」が殺到しているような自治体公式ページは全くといって良いほど見当たりません。(僅かに一瞬だけアクセスを集めるケースはたまにありますが…)

海外事例で言えば、Obermutten facebook campaign が一時期話題となり有名ですが、これも現在は閲覧数も乏しく、どのような効果を生み出せたのかは不明です。

Obermutten村という100人にも満たない小さな人口の村が、Facebookページを作り、「いいね!」してくれた人の顔写真を、村の掲示板に掲げるという公約を村長が発表したことで一時期話題になった。一時的に大きなアクセスを呼び込み、「いいね!」も3万を超えたが… 3万である。参考までにウィルスミスのFacebookページの「いいね!」は2017年12月現在約7千5百万人だ。このObermutten村の広告効果が240万スイスフランという噂もあるが、私は眉唾ものだと思っている。

つまり、海外でも国内でも、SNSの公式アカウント運用においては、これだっ!という成功事例が無いのです。

それでは、いま流行りの「動画」という分野はどうでしょうか?

地方PR動画、YouTube活用の事例と、自治体運用のハードルの高さ

地方PR動画もしかり。

宮崎県小林市の移住促進PRムービー “ンダモシタン小林”、Pure Green Kobayashi-City Miyazaki, Japanは見事なもの。その後も工夫を凝らした動画戦略で素晴らしいと思うのですが…

「ンダモシタン小林」はあちこちに転載もされ、多くの人の目に触れることになりました。

しかし…小林市は本当に数少ない成功例のひとつ。

小林市以外の自治体は「成功」と言われる例でもせいぜい数十万再生。

常時数百万再生は当たり前、時には数千万再生を叩き出す、個人のYouTuberの皆さまとは比較にならないのが現実です。

実際に再生回数を比較していただければわかります。

国内のトップユーチューバーなら常時数百万再生は当たり前。時には数千万回に至ることも。

英語圏のYouTuberの場合、閲覧するユーザーは国境を超え、常時数千万、億の再生回数が珍しくないというような人も…

彼らYouTuberはは自治体制作の動画よりもはるかに低予算で、動画を量産しています。

毎日動画をアップするのは当たり前の所作。しかしながら、それを自治体がこなすのは、越えるべきハードルの数を考えても非常に困難です。とても真似はできない。

ジャンルが違うのだからと言われればそれまでですが、YouTuberに比べ、自治体が動画による影響力、経済効果を思うように得られていないのは事実。

常時注目される動画を継続投稿出来ている自治体はひとつもありません。おそらく世界中を探しても。

ここまでの現状を把握すれば、地方自治体のSNS活用はいかに難しいものか、ご理解いただけることでしょう。

では、なぜこんなにもうまくいかないのでしょうか?

問題と解決策について考えてみましょう。

地方自治体のSNS(ソーシャルメディア)活用の問題点

上記で述べた通り、国内においても、海外においても、自治体や行政によるSNS活用の成功事例はほとんど存在していません。

個人や企業での成功事例は多数存在しているにも関わらず、なぜ地方自治体、行政では成功例を生み出せないのか?

それには以下のような理由が存在していると、私は考えています。

1、自治体からの発信について回る、さまざまな制約が障害になる

地方自治体による情報発信にはさまざまな制約が存在します。民間に比べ、あまりにも“出来ない”ことが多過ぎる。

税金で運用されている限り、限りなく狭い範囲での表現が求められます。

実際に、鹿児島県志布志市がふるさと納税用にアップしたPR動画『少女U』は大炎上。

※内容に言及すると数千字は必要になり、記事の趣旨が変わってしまうので、今回はそこには触れません。

公開1週間ほどで削除を余儀なくされた事例もあります。

結果、万人に対して無難な内容での投稿しかできず、ホームページや広報誌と同じ内容しか掲載できなくなってしまうわけです。

※別に私は「少女U」を肯定も否定もしない。変な人たちよ湧いてこないように!

2、担当者の選定と、発信コンテンツのセンス

私も仕事柄、自治体の職員のみなさまとのお仕事を共にする機会が多いのですが、やはり民間と比べてしまうと、WEBへの理解、知識については遅れていると言わざるを得ないでしょう。

上記のようなハードルはあろうとも、ここにはもう少し努力が必要だとも思います。

そういった状況から、本来SNS担当者に任命すべき、

コミュニケーション力が高い人

ではなく

パソコンに強い人

になってしまうところが辛いところです。

SNSは双方向のコミュニケーションツール。効果的な運用を求めるにおいて、コミュニケーション力は非常に重要な要素になります。

また、日頃からSNSに触れているような人でないと、その文化に調和したコンテンツの制作は難しいでしょう。

FacebookにはFacebookの文化があります。TwitterにはTwitterの文化があり、InstagramにはInstagramの世界観があります。

文化や世界観と調和できないコンテンツは、反響を得られません。

こういったものの区別をつけられるセンスを持ち合わせていないと、コンテンツ制作も、投稿も難しいでしょう。

 

このような問題点の数々がハードルとなり、成功例を生み出せずにいるのでしょう。

では自治体、行政はこれから先も永遠にSNSの活用は不可能なのでしょうか?

私は一つの解決策があるのではないかと考えます。

地方自治体のSNS運用 ー 解決策は、ストック型メディアの活用と、ユーザーの自発的な発信(投稿:ユーザーコンテンツ)を促す仕組みづくりにあり

上記のハードルを乗り越え、地方自治体が効果的なSNS運用をするにはどのような策があるのでしょう。

これについては以前、私がTwitterで言及しておりますので、ぜひご一読頂きたい。

しかしながら…

ストック型メディアとは、BlogやWebサイト、YouTubeのように、コンテンツが検索エンジンにしっかりとインデックスされ、情報の価値が劣化されにくいメディアのことを指します。

フロー型メディアとは、FacebookやTwitterのようなタイムライン形式で情報が流れ去ってしまう(フローしてしまう)メディアを指します。

上記で示した通り、世界中を見渡しても、フロー型のメディアにおける自治体の成功事例は探すことすら難しいわけです。

しかし、地方自治体の発信は検索エンジンから大いに優遇されています。

少しぐらい質の悪いコンテンツであっても、自治体の公式発信というだけで、他のドメインよりも上位表示されやすいという検索エンジン上での優位性があるのです。

ですから、ストック型メディアの活用、特にWebサイト活用は非常に効果的。

これを利用するのがイチバンです。

しっかりキーワードを入れ込んだ記事を量産し、住民(のみならず、訪れる観光客も視野に入れたいところ。)の疑問や悩み、知りたいこと、それらを解決するための情報を網羅して行きましょう。

もちろん更新情報は、TwitterやInstagram、Facebookといったフロー型メディアでも流して行きます。

メディアに合わせた発信の仕方があります。

それぞれのメディアの文化、世界観に合わせた発信をしていくことが大切です。

Instagramの投稿をTwitterのノリでやってしまっても嫌われるだけですから。

2017年は、フォトジェニック、インスタ映えという言葉が注目された年でした。

そして、国土交通省が「インスタ映え」の風景を増やす整備の促進、観光誘客を後押しするとニュースもありましたが、私は大賛成。(インスタが廃れたとしても、美しい景色を写真に収め、SNSに投稿する文化は人類が存在する限り無くならないでしょう。)

ここは私のイチオシポイントです。

Instagramを日常的に使用していて、その文化や世界観に慣れた人を担当者にし、自治体が豊富に持つ、美しい写真の数々を活用してみてください。

外国人を含め、観光客誘客に間違いなく寄与します。

しかしながら、ただ綺麗な写真を並べるだけでは、反応も取れませんし、意味がありません。

写真に統一感を持たせる、ストーリーを持たせるなどの工夫をしながら、適切なハッシュタグをつけて投稿しましょう。

その土地の素晴らしさを投稿で伝えましょう。

決して難しいことではありません。一般のインスタグラマーが当たり前にやっていることをやれば良いだけです。

ユーザーの発信を分析すれば、地元の人には見えない、その土地の魅力を発掘することもできます。

Webサイト上に、その自治体、土地に由来するハッシュタグを使用した投稿を埋め込むのも効果的でしょう。

ユーザーコンテンツの活用ですね。

また、ユーザーの発信を公式アカウントでRetweetするなども良いでしょう(それが望まれるような嫌われないアカウント育成も必要)

ユーザーの投稿を増やす施策も効果的です。

東京ディズニーランドや、東京ディズニシーのように、フォトスポットをユーザーにサジェストするような仕掛けはどうでしょうか?

ディズニシーのパーク内には、24箇所、おすすめの写真撮影スポットを示す看板が設置されているほか、公式サイト内でも案内ページを設けています。

もちろん、パンフレットにも記載があります。

その結果、そこで撮影された写真がTwitterにもInstagramにも大量にアップされています。

こういった民間の工夫はぜひ真似するべきだと思いますね。

ユーザーコンテンツの活用と言うと、ネガティブな投稿を恐れる意見をよく聞きます。

しかし、景観の良い観光地での記念写真や、風景の撮影などがネガティブな投稿になることなどは本当にレアケース。そうそうあることではありません。

さほど心配する必要はないでしょう。

ぜひ、こういった施策を実現してください。

確実に目に見えた効果が得られるはずです。

 

まとめ

さて、地方自治体のWEB活用、SNS活用についてまとめてみましょう。

まず、フロー型メディアのSNS活用については、世界中を見渡してみても、目立った成功事例が無いのが現実です。つまり難易度が高すぎる。

コンテンツの発信は、ストック型メディアに集中し、検索ユーザーへの発信を中心に置くことが基本です。フロー型メディアはその補助として活用すると良いでしょう。

しかしながら、地方自治体の持つ豊富な写真のストックは活用しがいがありそうです。

Instagramの発信は試してみる価値はあるでしょう。ただし担当者はInstagramの文化、世界観を知る者に任せたいところですね。

また、ユーザーの自発的な発信を増やす施策も必要となります。

ディズニーのフォトスポットパネルはぜひ参考にしたいところです。

以上、2017年最後の記事でした。

本年もお世話になりました。2018年も、ぜひ読み続けていただければ幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

落合正和

マーケティング・コンサルタント&Webメディア評論家&ブロガー 2010年よりソーシャルメディアマーケティングに注目し、現在はオフラインでの商圏分析とソーシャルメディアマーケティングを融合したナレッジをベースに、企業や政治家、プロスポーツ選手といった方々へのコンサルティング活動、講演活動を行っています。 著書:はじめてのFacebook入門【決定版】(秀和システム)