2026年8月 | セミナー開催報告
8月17日の夜、非公開のシークレットセミナーを開催しました。途中の出入りはありましたが、参加者は17名。テーマはAIによるWebサイト構築と、AIを活用したコンテンツ制作の2本柱です。
「AIを使えば、Webサイトはもう自分で作れます」。私がそう伝えても、非エンジニアである多くの経営者や小規模事業主の皆様は半信半疑のままです。Webサイトは専門家に外注するものであり、自分で作るという選択肢は、そもそも頭の中にない。長くビジネスをしてきた方ほど、この常識は強固です。
その常識を崩すべく今回のセミナーでは、「AIでWebサイトは15分で作れる」、「AIでSNS投稿コンテンツ、ブログコンテンツは15分で作れる」という言葉での説明のみならず、参加者の皆様の目の前で、AIにWordPressのテーマを実際に作らせ、サイトが立ち上がるまでの全工程を見てもらう。AIを活用したコンテンツ制作の実践をみてもらう。実演を交えたセミナーとなりました。
AIでWordPressテーマを生成し、僅か15分でサイトを立ち上げるまでの手順
セミナーの前半では、参加者の目の前で実際にWordPressのテーマをAIに生成させる実演を行いました。手順は驚くほどシンプルです。作りたいサイトの内容をAIに伝え、続けて「これをWordPressのテーマにしてください」と指示する。するとAIがテーマをZIPファイル形式で出力します。あとはWordPressの管理画面からアップロードすれば、サイトが立ち上がります。
シンプルな会社案内やランディングページであれば、慣れれば15分から30分で形になります。実際、質疑では外部に委託した場合のコストと比較して、この速さ、手間のかからない様子に驚かれる声がありました。これまで外注を前提に考えてきた方ほど、時間と費用の感覚が大きく変わるはずです。
AIモデルの使い分けにも触れました。シンプルなLPであれば、速度を重視してClaude Sonnetのような軽量モデルで十分です。複雑なものを作るなら、上位のモデルに切り替える。さらに、予約機能や会員登録といった機能の実装が必要になったら、Claude CodeやCodexのようなAIエージェントの出番です。作るものの複雑さに応じて、モデルとツール形態を段階的に使い分ける。これが現時点での現実的な線引きです。
もうひとつ、当日繰り返しお勧めしたのが音声入力です。キーボードで丁寧な指示文を打つ必要はありません。話した内容をそのままAIに渡せば動きます。デザインについても同じで、「動きのあるデザインにしたい」と伝えるだけで、マウスオーバー時の挙動のような細部までAIが設計してくれます。専門用語を知らないことは、もう障壁ではありません。

AIが生成したコードを、そのまま公開してはいけない理由
ただし、速度の話だけで終わらせるわけにはいきません。AIが生成したコードには、脆弱性が潜んでいる可能性があるからです。
セミナーでは、公開前に複数のAIモデルで脆弱性診断を行うことを必須要件としてお伝えしました。チェックする観点は、不正入力への耐性、権限操作の穴、個人情報漏洩のリスク、そして既知の脆弱性の混入です。さらに公開後も、月1回から2週間に1回程度の定期診断を運用に組み込みます。ここまでやって、はじめてAIによるサイト構築は実務に耐えます。
具体的にお話しすると、Claudeで作ったテーマを、ChatGPTやGeminiといった別のAIに読み込ませ、「このコードに不正入力への脆弱性、権限操作の穴、個人情報漏洩のリスク、既知の脆弱性がないかチェックしてください」と指示する。作った本人ならぬ、作ったAIだけに診断させるのではなく、必ず別のAIの目を通すことがポイントです。同じAIは自分の書いたコードの欠陥を見落としやすいからです。指摘が返ってきたら、その内容をそのまま元のAIに渡して修正させる。この往復を、問題の指摘がなくなるまで繰り返します。
そしてもうひとつ、これは強くお勧めしたいことです。メールアドレスなどのリストを収集するフォーム、会員登録、決済など、個人情報を扱う仕組みをサイトに組み込む場合は、AIによる診断だけで済ませず、公開前に一度、プロのエンジニアにチェックを依頼してください。AIの診断は精度が上がっているとはいえ、万一の漏洩で失うのはお客様からの信頼であり、事業そのものです。ここだけは費用をかける価値があります。むしろ、サイト構築を丸ごと外注していた頃と比べれば、最後の点検だけをプロに頼む形は、十分に安い保険だと言えます。
カンタンに生成できることと、安全に運用できることは別の話なのです。
なぜAIに書かせた文章は読まれないのか
後半はコンテンツ制作です。ここでお伝えした原則は、突き詰めればひとつだけです。著者は常に自分自身であること。
AIは安全設計上、放っておくと一般論に収束します。誰にでも当てはまり、誰の心にも刺さらない文章。これをそのまま公開しても、検索エンジンにも、AI検索にも、そして読者にも選ばれません。GoogleがE-E-A-Tとして評価する要素のうち、中小規模の発信者が勝負しやすい要素はExperience、つまり経験です。そして経験だけは、AIには生成できません。
経験が生成できないのなら、取るべき運用は自ずと定まります。自分の体験と感情を軸に置き、AIには編集役に徹してもらう。100点の完成度を待たず、70点で公開して修正を重ねる。当日は、スマホの音声入力機能で下書きを話し、それをAIに編集させて記事に仕上げるまでの流れも実演しました。この一連の作業は10分から15分で完了します。なお、AIにも得意分野があります。私は文章の作成にはClaudeを使っています。長文になっても文脈のブレが少なく、編集役として安定しているからです。一方、画像生成はChatGPTが得意です。文章はClaude、画像はChatGPTというように、作るものに合わせてAIを使い分けるのが効率的です。
あわせてお伝えしたのが、語り口が上から目線にならないことです。ハウツー型の発信で説教の匂いがした瞬間、読者は離れていきます。自分の失敗談を交えるなど、読者と同じ目線で悩み、痛みに寄り添う。体験を軸にする意味は、独自性のためだけではなく、読者とのこの距離感のためでもあります。
質疑応答。既存サイトのテーマ入れ替えからAI誤判定への対応まで
質疑では、実務の悩みが次々と出ました。既存サイトのテーマをAI生成のテーマに入れ替えるにはどうすればいいか。この質問には、ブログ記事などの既存コンテンツを保持しながら慎重に差し替えること、テーマ固有の機能が消える可能性に注意することをお答えしました。
ほかにも、AIが反抗的になって指示に従わないときの対処、AIが書いたと誤判定された場合の考え方、記事の内容がどうしても説明中心になってしまい、自分の体験談をどう織り込めばいいか、公式サイトとブログは分けるべきか。どれも、実際に手を動かした人からしか出てこない質問です。個別最適化した回答を、おひとりずつお答えしました。
なお、サーバー契約なしでページを公開できるChatGPTの「サイト」機能にも触れました。長期運用には向きませんが、手軽でサーバー不要。短期のプロモーション用LPや一時的な告知ページには有効な選択肢です。

作成・公開・共有できる機能です。
印象に残っているやり取りがあります。Webサイト制作に長く苦戦してきた経験を、率直に共有してくださった方がいました。お話を伺って私がお伝えしたのは、多くの人は「AIにはできない」と、やる前に自分で限界を決めてしまっているということです。やりたいことを素直にAIに伝える。それだけで解決することが、実際には少なくありません。
残っている壁は、技術の壁ではない
セミナーでお見せした内容を振り返ると、シンプルなWebサイトの構築は15分から30分。コンテンツは下書きから仕上げまで10分から15分。そこに、公開前と運用中の脆弱性診断という必須要件が加わります。技術的な工程はここまでで、そのあとに残るのは、自分の体験と感情をどう載せるかという、著者にしかできない仕事です。当日お見せしたのは、この全体像でした。
そして当日の締めくくりにお伝えした通り、この手法を実践している人はまだ多くありません。つまり、いま動き始めた人が、そのまま先行者利益を手にできる状況です。それでも多くの方が動けずにいるのは、技術が難しいからではありません。質疑でのやり取りにもあった通り、「自分にはできない」という思い込みが最後の壁として残っているだけです。そしてその壁は、やりたいことを素直にAIに伝えた瞬間に崩れ始めます。
AIの登場で、Webサイトを作ること自体の難易度は大きく下がりました。作れることが差別化になる時代は、終わりつつあります。誰もが同じように作れるのなら、差がつく場所はひとつしかありません。出来上がったサイトに、何を載せるかです。あなたが現場で積み重ねてきた経験と、そこから得た視点。それだけはAIに生成できず、他の誰かが代わりに書くこともできません。技術の価値が下がった分だけ、経験の価値が上がっているのです。
皆様からの率直な質問の数々が、このセミナーの内容を何倍にも深くしてくれました。ご参加いただいた17名の皆様、ありがとうございました。






















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