高専柔道、または七帝柔道ってご存知ですか?
いきなりマニアックな質問から始めてしまって申し訳ございません。
ちょっと昔の柔道仲間と話していて、ボンネルの話題を経て、そういえば柔道関連のこと記事にしていないなぁと気づいたわけです。
現在はタダのデブと化した私ですが、学生時代は柔道に命を捧げていました。こう見えても、一応講道館柔道参段です。
それなりにやってきたつもりです。
受験もすべて柔道のスポーツ推薦で乗り切ってきました。
朝から晩まで柔道のことばかり考えて生活していた、あの頃が本当に懐かしいです。
いま思えば、稽古は大嫌いでしたが、柔道という武道そのものは、心の底から愛していたんだなぁと思います。
同じ道場の後輩たちはオリンピックだ、世界選手権だ、国際大会だ、と世界で活躍する一方、私はとてもそんな成績を残すことが出来ず、趣味の柔道に切り替えて今に至ります。
そんな中、総合格闘技やら、ブラジリアン柔術(昨年某大会で優勝しました!)やら、レスリングやら(これは県チャンピオン獲った!)、クラヴマガやらを少〜しづつ嚙ったりして、いまだ格闘熱を持って生きています。
しかしながら私の源流はやはり柔道。少なからず柔道が無ければ今の私は存在していません。
と、まぁ自分語りを前置きにして、今回は、一般にはあまり知られていない『高専柔道、または七帝柔道』という柔道について、お伝えしようと思います。
みなさんがオリンピックなどでよく見る柔道とは『講道館柔道』のこと。
講道館とはルールが異なるもうひとつの柔道、それが『高専柔道』なんです。
講道館柔道とは違う、もう一つの柔道!高専柔道&七帝柔道 そしてそれを伝える七帝柔道記
高専柔道とは、
・旧制高等学校
・大学予科
・旧制専門学校
の柔道大会で行なわれた、寝技が中心の柔道のこと。
講道館柔道とはルールが違い、
・立ち技から直接寝技に引き込むことが許される
・優勢勝ちが無く、一本のみで勝敗が決まる
・「待て」がかからない。場外に出ても体勢そのまま中央に戻される
等々、過酷な競技です。
現在では、旧帝大柔道部(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)のみ、その流れを受け継いでいます。これを七帝柔道と言います。
講道館柔道に比べると競技人口に大きな差がありますが、110年を超えて現在に受け継がれているんですね。
1993年〜2007年頃の格闘技ブームの頃、グレイシー一族の活躍によりブラジリアン柔術が注目され、その流れから技術、理念の近い高専柔道は一時期脚光を浴びました。
私も実際に七帝柔道経験者との乱取り(スパーリングみたいなものです)を経験していますが、講道館の柔道家とはまったく動きが違い、勉強になりました。
その後ブラジリアン柔術も経験しましたが、技術的にはそちらのほうが近い感じがしましたね。
https://youtu.be/n7VJB_-qZE8
正直なところ私の現役時代は立ち技を得意としていて、寝技は苦手なほうでした。
それだけに現役時代はとても七帝柔道をやりたいなんて思うことは無かったのですが…
ここ最近この本を読んで、七帝柔道に興味が湧いています。
[amazonjs asin=”409186709X” locale=”JP” title=”七帝柔道記 1 (ビッグコミックス)”]大ベストセラー「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」の著者、増田俊也氏の小説「七帝柔道記」のマンガ版。
よくある背負い投げが得意な主人公が弱小柔道部を全国まで連れていく…
というような王道柔道マンガとはまったく違って、汗臭く、泥臭く、生々しい七帝柔道の世界が描かれています。
カンノヨウセイ(詳しくはぜひ読んでみてください)
とか、ハラハラしますが、こういうの柔道部って好きなんですよね。
私の学生時代も、締め落とされておしっこ漏らしちゃう人、練習中ゲロばっか吐いている人、耳が取れちゃった人、たくさん見てきましたが、そういった柔道部の生々しい「現場」が描かれているので、とても好感が持てます。
「帯ギュ」
とか、
「柔道部物語」
とかもめっちゃ面白いのですが、主人公の奇跡の成長とか、マネージャーとの恋愛のような柔道界では絶対にありえない幻想の世界が描かれていないので、柔道OBはより楽しめるかと思います。(まぁ柔道部物語は結構生々しい部分もありますが…)
そして何よりも、謎めいた七帝柔道の世界を垣間見える作品。
七帝なんたるや?
がよくわかりました。
まだまだ続いているので、今後の展開が楽しみです。
まとめ
講道館柔道の経験者でも『高専柔道?七帝柔道?なにそれ??』って人は意外と多いです。
柔道に当身技があることを知らない人もいっぱいいますしね。
ぜひ七帝柔道記を読んで、知られざる柔道の歴史や、サイドストーリーを知ってもらい、興味を持って欲しいなぁと思います。
私はこれを読んで柔道熱が再び湧いてきました。
今、日本の柔道人口は18万人ほど。フランスは70万人近いと言われていますし、ブラジルにおいてはそれ以上の柔道人口を誇ると言われています。
発祥の地、日本でこの状況は寂しいですね。
こういったマンガなどを通じて、愛する柔道を知ってくれる人が一人でも多くなることを祈っております。(読んで避けたくなる人も増えるかもしれませんが…笑)