テレビ西日本「カンニング竹山の福岡ワイドSHOW」様の取材を受け、番組にコメントさせていただきました。今回のテーマはBeReal(ビーリアル)。番組内でもお伝えしたネットリテラシーについて、ここで改めて考えを整理しておきたいと思います。
目次
「盛れないSNS」BeRealとは何か、なぜZ世代に刺さったのか
BeRealはフランス発のSNSアプリです。毎日ランダムな時間に通知が届き、2分以内に内カメラと外カメラを同時に撮影して投稿するという独特の仕組みを持っています。撮り直しも、加工もできない。過去の写真を使うことも不可。使い捨てカメラのように、一度撮ったらそのまま投稿するしかないという設計思想が、このプラットフォームの根幹にあります。
加工なし、映えなし、リアルな瞬間だけ。そのコンセプトが刺さったのが特にZ世代です。ユーザーのうちZ世代(14〜27歳)が占める割合は83%(2024年10月時点)とされており、Z世代ユーザーの90%が毎日BeRealに投稿しているというデータがあります。2025年8月には国内MAUが113万人に達し、937%増という成長率を記録しています。
BeRealが若い世代に受け入れられた理由はシンプルで、「見せたいものを見せる」のではなく「見たくないものも見せ合う」という関係性の設計にあります。そこには過剰な演出疲れへの反動があります。
テレビ西日本「カンニング竹山の福岡ワイドSHOW」でSNS解説、私が伝えたかったこと
今回テレビ西日本「記者のチカラ presents カンニング竹山の福岡ワイドSHOW」にBeRealについてのSNS解説コメントをさせていただきました。
番組では「若者に人気のBeReal、やってみると…」というテーマで、番組スタッフの皆さんが実際にBeRealを使ってみて、どのようなタイミングに危険が潜んでいるのかを体験するという構成でした。BeRealによる情報流出や炎上といったリスクを、実際に使う側の視点から掘り下げた内容です。スタッフ自身が使ってみることで、「こういう場面で位置情報が漏れる」「こういうタイミングで意図しない情報が映り込む」といった具体的な危険が見えてくる。そういう番組づくりの姿勢は、私が考えるネットリテラシー教育の方向性と一致しています。
私がコメントの中で結論として伝えたのは、「禁止する、規制する、使わせない」という方向では決して問題は解決しないということです。そしてネットリテラシーの向上こそが本質的な解決策であり、そのためには炎上事例や情報流出の事例をたくさん見せることが有効だということ。番組のテロップにも「使用を禁止するのではなくSNSにかかわる炎上事例などを見せてネットリテラシーを高めることが重要」という形でまとめていただきました。
ただ、番組のコメントという性質上、時間の制約の中で伝えられることには限界があります。私がこのブログで改めて書き残しておきたいのは、そのコメントの背景にある考え方です。なぜ規制論が機能しないのか、効果的なネットリテラシー教育とはどういう設計であるべきか、そしてこれは若者だけの問題ではないという点。BeRealはその議論を始めるための入り口に過ぎません。以下に、私の考えを整理します。
ネットリテラシー教育に必要なのは免許更新の「事故事例ビデオ」と同じ発想だ
私が考えるネットリテラシー教育の最も効果的なモデルは、運転免許の更新と教習所です。
免許の更新に行くと、事故事例のビデオを見ます。「こういう油断をしたために、この人の人生はこうなった」という具体的なストーリーです。ゴールド免許の人はともかく、一般・違反歴ありの方は例外なくあのビデオを見せられる。教習所でも同じです。シミュレーターで事故が起きやすい状況を実体験させ、どんな操作ミスが死につながるかを身体で覚えさせます。
ネットリテラシーも、同じ設計が必要です。
過去の炎上事件、情報流出の実例、なりすまし被害、位置情報から自宅が特定されたケース。こうした「SNSの事故事例」をたくさん知ることで、「これをやるとこうなる」という具体的な感覚が育ちます。概念として「プライバシーに気をつけましょう」と言っても人は動かない。交通事故のビデオが効くのは、抽象的な「危険」ではなく具体的な「悲惨さ」を見せるからです。
BeRealに限っても、位置情報を有効にしたまま投稿することで自宅や学校の場所が特定されうるリスクがあります。「友達としかつながらない」という感覚で使っていても、スクリーンショットで拡散されるリスクはゼロではない。こうした「具体的に何が起きうるか」を知っているかどうかが、リテラシーの差です。
SNS規制論がいつも失敗する理由、BeRealでも同じことが繰り返される
SNSのトラブルが報道されるたびに、規制論や禁止論が出てきます。学校でのスマートフォン禁止、特定アプリの年齢制限、利用時間の上限設定。こういった対策を考える人たちの年齢層は、当然ながら高めになります。
そして、そのSNSやプラットフォームを自分では使ったことがない人たちが、ルールを作る。結果として何が起きるか。ルールに穴が生まれ、隠れて使う、別のアプリに移動する、という動きが出てきます。規制は問題を解決しない。使用場所を変えるだけです。
ベテランドライバーに「車の運転を禁止する」と言っても意味がない。それよりも「安全な運転の習慣」を身につけさせる方が現実的です。SNSも同じです。
SNSリテラシーの問題は若者だけではない、高齢者のほうが深刻なケースもある
番組では若者のSNS利用が取り上げられましたが、私はこの問題を若者限定にするのは危険だと思っています。
むしろ、SNSに関連するトラブルで見落とされがちなのが高齢者層です。スマートフォンで初めてインターネットに接続したという経験を持つ高齢者の方々は、ウェブの「空気感」を長年かけて学んだわけではありません。若い世代は失敗しながら覚えてきましたが、後から参入した世代はその蓄積がない状態でSNSに飛び込んでいる。フィッシング詐欺、なりすまし、誤情報の拡散、これらの被害は決して若者だけの話ではありません。
ネットリテラシーの向上は、社会全体の課題です。世代で切り分けるのではなく、「インターネットを使う全員に必要な教育」として設計し直す必要があります。
BeRealのような新しいプラットフォームが出るたびに、この問題は形を変えながら繰り返されます。プラットフォームより先にリテラシーを育てる。それが本質的な解決策です。
番組の内容はYouTubeでご覧いただけます
今回のテレビ西日本「記者のチカラ presents カンニング竹山の福岡ワイドSHOW」、該当箇所はこちらの動画からご覧いただけます。12分30秒あたりです。























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