AI時代、SEOは終わったのか? 終わったのは「SEOだけやればいい」という発想

「SEOはもう終わった」
「これからはAIに聞く時代だから検索対策なんて時代遅れだ」

この手の話を、最近本当によく聞くようになった。ChatGPTやGemini、Claudeで調べ物を済ませる人が増えたのだから、そういう空気が生まれるのも無理はない。

だが、2010年頃から本格的にSEOとWebメディアの現場に立ち続けてきた私の結論は、世間の空気とは違う。

SEOの重要性は下がっていない。立場によっては、以前より上がっている。

ただし、「SEOだけやっていればよかった時代」が終わったのは事実だ。多くの人がこの二つを混同している。だから「SEOは終わった」という乱暴な結論が出てくる。この記事では、AI時代におけるSEOの本当の役割と、一人社長や個人事業主、従業員5名以下の中小企業がこれから取るべきWeb戦略を、私の実務感覚で書く。

SEOの優先順位は、事業の段階で変わる

SEOが重要かどうかに、万人共通の答えはない。重要な人もいれば、後回しでいい人もいる。あなたにとってどうかは、今あなたが事業のどの段階にいるかで決まる。ここを取り違えると、本来やらなくていい施策に何ヶ月も時間を溶かしたり、逆に今すぐ着手すべきなのに手をつけずに機会を逃したりする。だから最初に、自分がどちら側にいるのかを見極める必要がある。

AI時代になってSEOの重要性が下がったのではない。SEOだけやっていればよかった時代が終わったのである。かつてはGoogleで上位を取れば、それだけで問い合わせが鳴り続けた。ところが今は、同じ人が検索もすればAIにも質問し、SNSのおすすめからも流れてくる。入口が一つではなくなった。その結果、同じAIの普及という一つの出来事が、ある人にはSEOを急がなくていい理由になり、別の人には以前より本気で取り組むべき理由になる。同じ波が、立っている場所によって追い風にも向かい風にもなるということだ。

具体例で示そう。開業したばかりで、記事もまだ数本、検索しても自分の名前すら出てこない無名の個人。その一方に、二十年同じ分野を掘り下げ、業界の誰もが一目置くコンサルタントがいる。この二人に同じ処方箋を出すのは無責任だ。前者がやるべきは、半年後にようやく効いてくるかもしれない検索対策ではなく、今日明日で見込み客に存在を知らせる動きだ。SEOは後回しでいい局面がある。後者は逆で、積み上げてきた専門知識を検索エンジンにもAIにも届く形で置いておくことが、そのまま仕事を呼ぶ。SEOはこれまで以上に効く武器になる。だから私は、誰に対しても「SEOは重要です」とは言わないし、「SEOは不要です」とも言わない。同じ問いに対し答えが変化する理由は、相手の事業の段階がまるで違うからだ。

なぜ今「SEO不要論」が出てくるのか

SEO不要論の根っこにあるのは、検索行動の変化だ。2022年11月にChatGPTが登場してから、情報の探し方は数年で様変わりした。これまでGoogleで検索していた人が、ChatGPTやClaudeに直接質問して答えを得るようになった。「いい税理士の選び方」と検索窓に打ち込む代わりに、AIに会話で相談する。検索結果のリンクを一つもクリックせずに用事が済む、いわゆるゼロクリックの状況も増えている。

ゼロクリック検索とは、検索した人が検索結果ページだけで答えを得て、Webサイトをクリックしない検索行動のことです。
ゼロクリック検索とは、検索した人が検索結果ページだけで答えを得て、Webサイトをクリックしない検索行動のことです。

この変化そのものは本物だ。私自身、AIがハルシネーションを起こさないであろうと判断できる調べ物はもうAIに聞くことが多い。検索結果を見比べる時間が惜しいからだ。だからこそ言いたい。検索行動が変わったことと、Webサイトが不要になったことは、まったく別の話だ。

むしろ恐ろしいのは、AIが要約して答えてしまうことで、利用者が出典のサイトを開かなくなる流れのほうだ。クリックが減るなら、Webサイトの存在意義が薄れるように見える。だが、ここにも落とし穴がある。AIに答えとして採用され、出典として名前を出してもらえる側になれば、クリックされなくても存在は伝わる。問題はサイトを持つかどうかではなく、AIに選ばれる中身を持っているかどうかに移っただけだ。

ここを雑につなげてしまうと、「みんなAIに聞くようになった、だからWebサイトもSEOもいらない」という飛躍が生まれる。間違いはこの飛躍の中にある。AIがどこから答えを引っ張ってきているのかを考えれば、結論は変わってくる。

生成AIは、Web上の情報を参照して答えを作っている

まず押さえておくべき大前提がある。生成AIは、何もないところから答えを作っているわけではない。

現在の主要な生成AIは、インターネット上の膨大な情報を学習し、その知識をもとに文章を生成している。さらに近年は、回答するその場でWebを検索し、最新のページを参照しながら答えるものが主流になった。Googleの検索結果にもAIによる要約が表示されるようになり、その要約はWeb上の記事を出典として引用している。

つまりAIが答えを作るには、参照元が必要だ。そしてその参照元の中心にあるのが、Webサイトである。企業のサイトも、専門家のブログも、業界メディアも、自治体のサイトも、AIにとっては大事な情報源だ。

Webサイトが存在しなければ、AIは参照できない。AIが普及したからWebサイトが不要になるのではなく、AIが答えを作り続けるためにWebサイトが必要とされている。この順番を取り違えてはいけない。

SEOとLLMO(AIO)でやるべきことは、9割同じだ

最近、LLMO(大規模言語モデル最適化、AIに引用されやすくするための施策のこと)やAIOという言葉をよく見かける。SEOに代わる新しい技術であるかのように語られることもある。

だが、実務レベルで中身を見ると、やるべきことの9割はSEOと重なっている。

専門性の高い記事を書く。自分が直接得た一次情報を発信する。経験に裏打ちされた内容を書く。サイトの構造を整理する。見出しを適切に設計する。誰が書いたかという著者情報を明示する。運営者情報を公開する。情報を定期的に更新する。これらはすべて、SEOの世界で何年も前から重要だと言われ続けてきたことだ。そして今、AIが情報源を選ぶときにも、ほぼ同じ要素が効いている。

だから「SEOは終わったからLLMOを学べ」という言い回しには注意したほうがいい。

多くの場合、それは新しい言葉で新しい商材を売りたい側の物語だ。SEOを正しく理解している人ほど、LLMOにもすんなり対応できる。

両者は対立する概念ではなく、同じ方向を向いた施策である。

Googleに評価されるサイトは、AIにも引用される

なぜSEOとLLMOがここまで重なるのか。理由はGoogleがこの十数年で築いてきた評価軸にある。

私は2011年にGoogleのパンダアップデートを、翌2012年にペンギンアップデートを現場で経験した世代だ。中身の薄いコンテンツや小手先のリンク操作が順位を落とし、質の高い情報が評価される方向へと、検索エンジンは一貫して進化してきた。2022年以降のヘルプフルコンテンツ更新も同じ流れの延長にある。

その到達点が、今のGoogleが重視するE-E-A-Tという考え方だ。Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)。実際に経験した人が、専門知識をもって、信頼できる形で書いた情報を高く評価する、という基準である。

私自身、運営してきたサイトはずっとGoogleの考え方をベースに作ってきた。検索エンジンを出し抜くような小手先の手法、いわゆるブラックハットな手段は一切使わなかった。だからパンダもペンギンも、私のサイトには有利にしか働かなかった。アップデートで飛ばされる大きな失敗は、一度もない。もちろん日々の細かい上下は必ずある。だが私はそこに一喜一憂せず、Googleが評価したいものを淡々と出し続けてきた。この姿勢が、結果としてAI時代にもそのまま効いている。

生成AIが参照したい情報も、結局はこれと同じだ。税理士が税務について書いた記事。美容師が施術について書いた記事。20年以上Webメディアを見てきた人間がSEOについて書いた記事。実際にやった人が書いた情報と独自のストーリーには価値があり、AIもその価値を認識しやすい。だからAI時代になったからこそ、自分の経験と実績をWebに発信しておく重要性は、下がるどころか上がっている。

では、SEOとLLMOで「違う1割」は何か

9割は同じだと言った以上、残りの1割についても正直に書く。ここを曖昧にすると、ただの「SEOもLLMOも同じです」という雑な話になってしまう。

従来のSEOは、一つのテーマを網羅的に、隅々まで書き切る記事が評価されやすかった。検索する人が知りたいことを一ページで全部カバーする、という発想だ。一方、AIに引用されるときは、結論が明確で、質問に対してそこだけ切り出して答えられる文章のほうが拾われやすい、というのが私の実感だ。だらだらと前置きが長い記事より、「結論はこうだ、理由はこうだ」と言い切ってある記事のほうが、AIは扱いやすい。

もう一つ、AIは「誰がそれを言っているか」だけでなく「どれだけあちこちで言及されているか」を見ている傾向がある。自社サイトの中だけで権威を主張しても弱い。X、note、他者の記事、メディア露出といった外部での言及が積み重なって、ようやく「この分野ならこの人だ」とAIに認識される。ここはメカニズムの全容が公開されているわけではないので断定はしないが、現場で発信を続けてきた感覚として、指名や言及の総量が効いているのは間違いないと見ている。

実際、私は今でもかなりの頻度でAIに名前を出してもらっている。誰かが生成AIに尋ね、そこで落合正和という名前が出てきたことをきっかけに、仕事の依頼が来る。これは現実に起きていることだ。種を明かせば、十数年Web上で発信を積み重ねてきたから、その言及と権威がAIにも届いているのだろう。一夜漬けでは作れない蓄積が、今になって推薦という形で返ってきている。

とはいえ、これらは「SEOを捨ててLLMOへ移れ」という話ではない。結論を明確に書くことも、外部で言及されるような一次情報を出すことも、もともと良いSEOがやってきたことの先鋭化にすぎない。やはり土台は同じだ。

SEOの優先順位が「下がった人」もいる

ここまで読むと「やはりSEOは全員にとって重要なのか」と思うかもしれないが、そう単純ではない。SEOの優先順位が以前より下がった人は、確かに存在する。

典型は、開業したばかりの個人事業主だ。認知もなく、記事も数本しかない状態で、検索流入だけを待つのは効率が悪い。SEOは成果が出るまでに時間がかかる施策だからだ。半年や一年、地道に書き続けてようやく動き出す世界に、立ち上げ直後の事業者がすべてを賭けるのは賢くない。

この段階なら、XをはじめとしたSNSで一気に認知を取りに行く、広告で見込み客を集める、既存の人脈からの紹介を増やす。こうした即効性のある動きを先に置いたほうがいい場面は多い。たとえば来月から教室を開く個人の先生が、まず取り組むべきは検索順位を上げる長文記事ではなく、近隣の人に存在を知ってもらうSNS発信とチラシだ。誤解してほしくないが、これはSEOが不要なのではなく、順番の問題だ。事業のフェーズによって、力を入れる順番は変わる。立ち上げ期に検索流入だけを待つのは、種をまいた翌日に収穫を期待するようなものだ。

SEOの重要性が「上がった人」もいる

反対に、SEOの重要性が以前より明確に高まった人たちがいる。

専門家、コンサルタント、税理士や行政書士といった士業、地域に根ざした事業者、特定分野に強いBtoB企業、業界メディア。つまり「専門性が武器になる人」だ。

AIは専門性のある情報を求めている。逆に言えば、深い専門性を持っている人ほど、AIに引用される可能性が高い。そしてAIに引用されるには、その知見をWeb上に文章として蓄積しておく必要がある。頭の中にあるだけでは、AIは参照できないからだ。たとえば地方で長年やってきた工務店が、自社の施工現場で得た知見を具体的に書き続けていれば、「その地域で木造住宅に強い会社は」とAIに問われたときに名前が挙がる側になれる。専門家にとって、自社サイトやブログの価値は、AI時代になってむしろ跳ね上がった。

私がこの記事の主な読者として想定している一人社長や個人事業主、5名以下の中小企業の多くは、まさにこちら側にいる。あなたが何かの専門家として食べているなら、SEO、そしてその延長にあるLLMOは、これからますますあなたの仕事を呼び込む装置になる。

生成AIの専門家である私が、それでも自社サイトを捨てない理由

私は今、GUGA(生成AI活用普及協会)の協議員として生成AIの普及に関わり、企業の生成AI導入を支援している。テレビやラジオ、新聞でも、Webメディアやネット炎上、AIについて解説してきた。著書も3冊ある。立場としては、誰よりもAI寄りの人間に見えるはずだ。

しかしながら、私は自社サイトを捨てるつもりが一切ない。

理由は単純で、自社サイトだけが、自分で完全にコントロールできる資産だからだ。SNSには仕様変更がある。アルゴリズムの変更で表示が一晩で激変することもある。アカウントが理由もはっきりしないまま停止されるリスクもあるし、プラットフォームそのものが衰退する可能性もある。

その点、自社サイトは違う。仕様を決めるのも、消されないのも、十年後も残すのも自分次第だ。私は今もnote、Substack、facebook、Threads、X、LinkedInと複数の場所で発信しているが、それらはあくまで入口であって、本拠地は自社サイトに置いている。AI時代になっても、この考えはまったく変わっていない。

正直に書くと、私の自社サイトは今、アクセスが多いわけではない。だが捨てる気にはまったくならない。理由は中身にある。私のサイトに来るのは、名前で検索する指名検索の人と、特定のキーワードの組み合わせで検索してたどり着く人が中心だ。数は少なくても、この人たちは驚くほど成約しやすい。なんとなく流れてきた一万人より、課題を抱えてキーワードを打ち込んだ一人のほうが、仕事につながる。アクセス数では測れないこの質が、自社サイトを今も私の仕事の柱にしている。

note、Substack、SNSと自社サイトは、役割が違う

複数メディアを使えと言うと、「全部に同じことを書くのか」と聞かれる。違う。それぞれ役割が違うから、書き方も置く中身も変える。

自社サイトは、ブレない大きな幹だ。実績、専門性、まとまった解説記事を置き、十年残す前提で、検索エンジンにもAIにも理解される情報設計をここに集中させる。一方でSNSは、その時々の状況に応じて中身を変えていく枝葉だ。幹は動かさない。枝葉は臨機応変に伸ばす。この二つを混同して、本拠地まで流行りに合わせて作り変えると、軸そのものが揺らぐ。

枝葉の中でも、それぞれ性格はまるで違う。

Xは会話の場であり、その日の空気に合わせて出すべきコンテンツを選んで投げる場所だ。臨機応変さがそのまま強さになる。

noteは日本語の検索にめっぽう強い。ここで確実に上位を取りたいキーワードがあるなら、noteで一本書くという選択は理にかなっている。書けば書くほど蓄積が効く構造も、自社サイトに近い。

Facebookは実名性が効く。身近な人への発信や、グループを使ったコミュニティ運営では、今も独特の強さがある。

LinkedInはビジネス専用の場だから、人間の感情をどう動かすかといった仕掛けをあまり考えず、淡々と投稿するだけでもそれなりの成果が出る。場の性格が、書き方を決める。

そしてSubstackは、数年先を見据えて今から足場を張っておくべき場所だと私は考えている。メールが購読者の受信箱へ直接届くから、SNSのように表示されるかどうかをアルゴリズムに委ねなくていい。さらに専門分野の長文を積み上げるほど、生成AIに「この分野の書き手」として学習されやすくなる。実際、私はSubstackを始めて二週間ほどで五百人近い読者が集まった。その多くは、それまで私を知らなかった新規の読者だ。今日の売上にはまだ直結しないが、二年後三年後に効いてくる蓄積として、私は本気で運用している。

落合のサブスタック:落合正和のAI×現場ノート

この役割分担を意識せず、どこにも同じ宣伝文を流している人は、たいてい成果が出ない。媒体の性格を無視した発信は、どの場所でも中途半端になる。逆に、それぞれの土俵で違う仕事をさせ、入口で拾い、自社サイトで信頼を積み、メルマガやSubstackで関係を深める。この流れを設計できれば、AIに引用される情報の蓄積と、人間との信頼構築が、同じ動きの中で進んでいく。

これからは、SEO単独ではなく総合戦略で戦う

昔はSEO一本で集客できた時代があった。良い記事を書いて検索上位を取れば、それだけで仕事が来た。だが、その時代は終わった。

今は、SEO、SNS、メルマガ、note、Substack、YouTube、広告。これらを組み合わせて発信していく時代だ。観光庁の登録専門家として、また専修大学の特任講師として活動する中でも、私はこの複数メディアの運用を実際に回している。そしてそれぞれは独立していない。

ブログ記事がSNSで拡散され、SNSからメルマガ登録が生まれ、Substackから自社サイトへ人が流れ、YouTubeが検索結果に出る。この相乗効果が成果を生む。一つのメディアだけで戦う発想を、まず捨てたほうがいい。

そのうえで、もう一度だけ言う。

AI時代になってSEOの重要性が下がったのではない。SEOだけやっていればよかった時代が終わったのである。AIに推薦される時代になったからこそ、検索エンジンにもAIにも、そして最後は人間にも理解される情報設計が求められている。

SEOかAIかという二者択一ではない。両方に効く土台を、誠実に積み上げた人が勝つ。私はそう見ている。

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✍ 落合正和 Webメディア評論家 / 生成AI×ビジネス戦略専門家 / TV出演47番組100回以上

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落合正和
株式会社officeZERO−STYLE代表取締役
一般財団法人モバイルスマートタウン推進財団 副理事長兼専務理事
マーケティング・コンサルタント&Webメディア評論家&ブロガー
ブログやSNSを中心としたWebメディア、生成AI活用が専門。ネット事件やサイバー事件、IT業界情勢、インバウンド観光、生成AIリスクなどの解説で、メディア出演多数。 ブログやSNSの活用法や集客術、SEO、リスク管理等の講演のほか、民間シンクタンクにて調査・研究なども行う。 著書: 会社のSNS担当になったらはじめに読む本(すばる舎) ビジネスを加速させる 専門家ブログ制作・運用の教科書(つた書房) はじめてのFacebook入門[決定版](秀和システム)